長谷実業事件(東京地判平7・11・7) ホステスは業移委託契約か労働契約か 解雇手当の支払い命じる

1996.03.25 【判決日:1995.11.07】
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時間管理、指揮監督等の実態で判断

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 クラブのホステス(原告)は、会社(長谷実業株式会社・被告)が経営するクラブ「ロングリバー」店に勤務するに際し、同業他社に対して負っていた顧客未収売掛金支払保証債務の支払いのために会社と消費貸借契約を締結し、この支払いを原告の毎月の賃金からなし、また、会社と締結した顧客未収売掛金支払債務を連帯保証内容とする契約に基づき、この保証債務の支払いをなした。

 ホステスは、各契約は公序良俗などに違反する無効の契約であるとして、支払金の返還を求め、また、解雇予告手当を請求して争ったものである。会社とホステスとの間に交わされているサービス業務委託契約が労働契約であるか否かが主な争点である。

判決のポイント

 本判決は次のように述べて、サービス業務委託契約は、労働契約であると判示した。「なるほど、本件業務委託契約および原告が会社に差し入れた入店誓約書の趣旨内容によると、原告は、会社からサービス業務委託契約に基づき、毎月委託料の支払いを受けてサービス業務の受託をし、会社の経営するクラブ『ロングリバー』店において遊興飲食業を営むというのであるから、同店において独立した遊興飲食業を営むかのようである。そこで、原告の勤務実態をみると、原告の接客した顧客の管理および売掛金の管理などは、原告においてなしていたというのであるから、原告は会社から提供を受けたクラブ『ロングリバー』店において遊興飲食業を営んでいたことは否定できない。しかし、売上高の最終的な帰属者は会社にあったのであり、原告は賃金として1カ月の純売上高50万円を基準として歩合給部分が定められていたものの、基礎日額が定められた日給月給制の下で支給を受けており、勤務時間制が採用されていて、これについてはタイムカードによって管理されたうえ、勤務時間を厳守するために賃金の減額措置がなされており、原告らホステスの勤務については、会社において指揮監督をしていたというのである。このようにみてくると、サービス業務委託契約は、原告がクラブ『ロングリバー』店において遊興飲食業を営むことは形式的側面においてであって、その実質は、原告が同店においてホステスとして接客サービスという労務を提供し、会社が原告に対し歩合給を含む賃金を支払うという契約、すなわち、労働契約ということができる」。

応用と見直し

 今日経済活動の多様化によって、労働契約が多様化し、「労働者」として労務を供給しているのか否か、判断に困ることがある。例えば、…

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平成8年3月25日第2098号10面 掲載

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