第一自動車工業事件(大阪地判平9・3・21) 経理の不正処理を理由に即時解雇を通告 予告手当の支払いは不要

1998.02.09 【判決日:1997.03.21】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

労働者の責に帰す解雇で請求権ない

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、自動車の修理等を業とするY社に入社以来、売掛金請求、回収など経理全般の業務に従事していた。Y社の取引先からの支払いの多くは、現金や小切手によるもので、Xが請求書を持参して取引先に集金に赴き、領収証を交付して支払いを受けて帰社し、振替伝票を作成し、金銭出納簿に記帳することになっていた。

 ところが、Xが、得意先から回収したY社の売掛金について、回収額の全部または一部を帳簿上入金として処理していないことが発覚した。そこで、Y社の社長らはXに対し、再三にわたってその経緯をあきらかにするように求めたにもかかわらず、Xは、十分な説明をしなかった。また、Xは、Y社の帳簿類を自宅に持ち帰っており、Y社側の再三の催促に対しても、少しずつ持参するなど誠実に対応しようとしなかった。

 そして、Y社社長らは、あらためてXに対し経理上の不審な点を指摘し、これを糺したところ、Xは、十分な説明をなさず、Y社の金を毎月120万円位抜いてやりくりしていたなどと発言するに至ったため、Y社は、Xに対し、懲戒解雇すると通告したが、解雇予告手当の支払いはしなかった。

 これに対し、XはY社が給与月額相当の解雇予告手当の支払いをしていないとして、その支払いを請求したが、Y社はその支払いを拒絶した。

 そこで、XがY社に対し、右解雇予告手当の支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

 Xは、実際に…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成10年2月9日第2188号12面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。