労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.10.25 【判決日:2017.09.26】
南海バス事件(大阪高判平29・9・26) 路線バス終着から出発までは“待機”と割増請求 乗客対応の義務なく休憩中
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  • 手待時間
  • 賃金
  • 割増賃金
  • 労働時間

 路線バス運転手が、ターミナル到着から出発までを「待機時間」として割増賃金を求めた訴訟の控訴審。会社はその間6分間のみ労働時間としていた。大阪高裁は、バスの移動や忘れ物の確認、清掃は6分間で可能で、残り時間を休憩と認定。車から離れることもでき乗客対応も義務とまではいえないとした。休憩中の実作業は申告する取決めだったが申告やその事実もなかっ……[続きを読む]

2018.10.18 【判決日:2017.12.15】
日本マイクロソフト事件(東京地判平29・12・15) 態度悪いとクビ、労災の一部休業中と無効主張 勤務実績から解雇制限なし
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  • 解雇制限
  • 解雇
  • 労災

 勤務態度を理由に解雇された元従業員が、3カ月前の休日出勤中に負傷しており解雇は労基法違反と訴えた。一部休業などの主張に対し、東京地裁は、所定労働時間以上の勤務実績があり、休業の事実はないとして労基法の解雇制限は適用されないと判断。再三の注意や指導書交付に反省の言がないなど改善は見込めず解雇有効とした。無許可の休出だが労災認定されていた。……[続きを読む]

2018.10.11 【判決日:2018.02.28】
ニチネン事件(東京地判平30・2・28) 即戦力の敏腕営業採用、期待外れと年俸半分に 退職と二者択一で減額無効
ジャンル:
  • 退職勧奨
  • 賃金
  • 賃金請求権
  • 退職

 中途採用した約3カ月半後、営業成績を理由に年俸を半額にする同意を得たとする会社に対し、元営業マンが差額賃金を求めた。東京地裁は、会社側は面談で「すぐに解雇できる」と発言したうえで、「退職か給与半額か」の結論を翌日に出すよう迫ったとして、同意が自由意思に基づくとはいえないとした。退職を回避するため、やむを得ず減額を受け入れたとした。 猶予……[続きを読む]

2018.10.04 【判決日:2018.07.19】
日本ケミカル事件(最一小判平30・7・19) 定額残業代上回るか確認できないと清算求める 実時間数の明示必須でない ★
ジャンル:
  • 賃金
  • 割増賃金

 定額残業代を時間外労働の対価とみなすには、労働者が割増賃金を上回るか認識できる仕組みが必要とした判決の上告審。相当する時間数や割増単価が不明で定額制を無効とした高裁に対し、最高裁は、手当が時間外労働等の対価である旨雇用契約書や賃金規程等に記され、原審判示の事情は必須とは解されないとした。時間外数と手当額は大きくかい離もしていなかった。……[続きを読む]

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