労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.04.26 【判決日:2017.04.26】
ホンダ開発事件(東京高判平29・4・26) 入社3年で異例の異動やバカ発言はパワハラか 配転と言動一体で不法行為
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  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償
  • 配転・出向

 入社3年で総務からランドリー班への異例の異動や、上司の「バカ発言」に関して、元従業員が配転無効や不法行為と訴えた。請求を棄却した一審に対して、東京高裁は、異動命令は新卒社員への配慮に欠けるものの、業務量増大と人員補充の必要から違法無効とまではいえない一方、上司の言動を一体のものとして考えれば不法行為に当たるとして、慰謝料100万円を命じ……[続きを読む]

2018.04.19 【判決日:2017.05.11】
凸版物流ほか1社事件(さいたま地裁川越支判平29・5・11) 工場内に待機させ欠員出れば採用の日々紹介は 職安法違反も賠償は認めず
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  • 労働契約
  • 派遣

 「日々紹介」は違法な労働者供給として、労働者が人材紹介会社や請負会社に慰謝料等を求めた。労働者は「元」と現場待機のため1時間の労働契約を結ぶ一方、欠員が出れば「先」と都度契約していた。裁判所は契約の時間帯が20分重複し、二重の雇用関係にあるなど職安法44条違反としたが、同条は行政取締法規に過ぎず、就労の期待も法的保護には値しないとした。……[続きを読む]

2018.04.12 【判決日:2017.04.27】
乙山色彩工房事件(京都地判平29・4・27) 「専門業務型」のデザイナー、割増賃金を求める 裁量労働制 代表者選出といえず
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  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 賃金

 絵画制作や建造物の色彩修復のデザイナー4人が、専門業務型裁量制の適用はないとして割増賃金等を求めた。京都地裁は、協定届上の過半数代表者が会合や選挙を行っていないと述べるなど選出方法は不明で、就業規則案も制度導入の記載のみで周知といえるか疑問として、適法な手続きとはいえないと判断。役付手当の額や労務管理の権限等から管理監督者性も否定した。……[続きを読む]

2018.04.05 【判決日:2018.02.15】
イビデン元従業員ほか事件(最一小判平30・2・15) 子会社工場でセクハラ、メーカーへ賠償求める 「信義則」上の義務を認めず ★
ジャンル:
  • セクハラ
  • 労働契約上の権利義務
  • 女性
  • 損害賠償

 子会社の女性からセクハラの相談を受けた親会社の責任が争われた訴訟の上告審で、最高裁は「相談時の状況」により信義則上の義務に基づく損害賠償責任を負うと判断。親会社にグループ会社対象の相談窓口があり、相応の対応が想定されていたものの、相談内容は女性が退職後の行為で加害者の職務に関係はなく、行為から8カ月以上経過しており責任は及ばないとした。……[続きを読む]

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