労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2015.06.22 【判決日:2014.07.09】
社会福祉法人県民厚生会ほか事件(静岡地判平26・7・9) 適応障害でセンター長解任、休職満了後は退職扱い 業務上疾病により解雇制限
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 上司のパワーハラスメントで適応障害を発症し、休職中に解雇されたのは不当として介護施設のセンター長が地位確認などを求めた。静岡地裁はパワハラは認めなかったが、業務の強度な精神的負担から適応障害を発症したと認定。労基法19条の解雇制限に照らし休職中の退職処分を無効として、賃金請求権を認めた。センター長からの降格は、人事権の裁量範囲で有効とし……[続きを読む]

2015.06.15 【判決日:2014.07.17】
日本政策金融公庫事件(大阪高判平26・7・17) 100時間残業でうつ病自殺、約9000万円の賠償は? 早出に業務上の必要性なし
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  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 月約100時間の残業でうつ病を発症し自殺したとして、配偶者らに約9000万円の賠償を命じた一審に対し、原告・被告が控訴した。大阪高裁は、早出は朝食や朝刊を読むためで業務上の必要性はないと判断。終業後の残業は約70時間で2カ月以上継続したことはなく、過重な業務ともいえないとして一審を覆して請求を斥けた。私生活での心理的負荷が原因とした。……[続きを読む]

2015.06.08 【判決日:2014.07.31】
サントリーホールディングスほか事件(東京地判平26・7・31) 上司の叱責でうつ病に、休職認められず年休消化? 心身への配慮欠き不法行為
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 上司のパワハラでうつ病と診断され休職せざるを得なくなったとして損害賠償を求めた。東京地裁は、「新入社員以下」、「馬鹿」などの発言は指導として許される限度を超えていると判断。上司が診断書をみたにもかかわらず、一時休職を認めず年休を消化するよう告げたことは心身への配慮を欠き不法行為に当たるとした。事業の執行に伴うもので使用者責任が成立すると……[続きを読む]

2015.06.01 【判決日:2014.08.12】
東京メトロ(諭旨解雇・仮処分)事件(東京地決平26・8・12) 駅員が電車内で痴漢、起訴され諭旨解雇の扱いは? 非違行為の態様から重すぎ
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 職務外非行

 駅係員が、電車内の痴漢行為により条例違反で逮捕、起訴され諭旨解雇されたことから、地位保全と賃金仮払いを求めた。東京地裁は非違行為の態様や法定刑では軽微な20万円の罰金であることを考慮したうえで、被害者側に示談を拒否され起訴、解雇に至ったことは酷で、より緩やかな処分も可能と判断。賃金仮払いは認めたがこれ以上に地位保全の必要性はないとした。……[続きを読む]

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