労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2015.02.23 【判決日:2014.07.17】
東京都医師会事件(東京地判平26・7・17) 不適切な言動で3カ月停職、管理職からも外したが 人事権行使した降格は有効
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  • 昇給昇格・降格
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 内科医長が、運営方針に従わなかったり検査室の私物化を理由に3カ月停職となり、処分から1カ月後に人事上の措置として降任降格とされたのは、合理的理由を欠き無効と訴えた。東京地裁は、非違行為は軽微な態様とはいえないが患者に影響はなく、就業規則上の最長期間の停職は重すぎるため無効だが、管理職の適格性を欠き降任降格は人事権濫用と認められず有効とし……[続きを読む]

2015.02.16 【判決日:2014.03.25】
日産自動車ほか事件(横浜地判平26・3・25) デザイン業務に派遣6年受入れ、黙示の契約成立か 「元」で労働管理の実体あり
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  • 派遣

 派遣先で車体のデザイン業務に6年間従事したが契約期間満了に伴い雇止めされたため、「先」に地位確認などを求めた。横浜地裁は最高裁判決を引用し、事前面接などの法律違反をもって派遣元との雇用関係が無効になるわけではなく、賃金支払いや時間管理の実態などから「先」の労働者と同一視できる特段の事情は認められないとした。専門業務で雇用申込み義務もない……[続きを読む]

2015.02.09 【判決日:2014.06.27】
岡山県貨物運送事件(仙台高判平26・6・27) 新卒が過労自殺、上司に注意義務違反なしの一審は 業務量調整する措置怠った
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  • 労働契約
  • 損害賠償

 新卒社員が長時間労働などで適応障害を発症し自殺した事案。遺族が所長らに損害賠償を求めた。一審は、所長が営業所の増員を要請しており心身の健康に関する注意義務違反はないとしたが、仙台高裁は、誤った出退時刻の申告を放置し残業を違法に端数処理するなど正確に時間管理をせず、業務量調整の措置を怠ったと認定。厳しい叱責で過度の心理的負担も生じたとした……[続きを読む]

2015.02.02 【判決日:2014.06.23】
中央労働基準監督署長事件(東京地判平26・6・23) 忘年会後に軽食、駅のホームからの転落死は通災か “通勤遂行性”の要件を欠く
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 忘年会後にラーメン店に立ち寄った後、通勤経路上の駅のホームから転落死したが、労災不支給とされ遺族が処分取り消しを求めた。東京地裁は、ラーメン店での飲食は会社の指揮命令下といえないとしたうえで、食事にほぼ手を付けず懇談が目的として、通勤に付随する「日常生活上必要な行為」にも当たらないと判示。通勤遂行性の要件を欠き、逸脱中断後の事故とした。……[続きを読む]

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