桜エンドレス事件(東京地八王子支決平8・9・30) 管理部長が勝手に税理士の顧問契約を解除 権限を逸脱した行為と認定

1997.07.14 【判決日:1996.09.30】
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誠実義務に反し、解雇事由に当たる

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、Y社の管理部長として、年俸1200万円、社宅貸与、自宅と社宅との往復のため毎週甲府新宿間の往復特急券の支給、通勤のためのタクシーチケットの交付などの条件で勤務していた。しかし、Y社は、①XがY社が顧問契約をしている税理士に対し、顧問契約の解除についての社内意思決定および所定の手続きに基づかず、顧問契約の解除通知を行ったこと、②対外折衝事務等の遂行の態度・言動が尊大あるいは高圧的であり、注意をされても態度を改めなかったことを理由として、普通解雇した。Xは、右解雇を無効として、労働契約上の地位の保全、給与等の仮払いを求めて、裁判所に対し仮処分申請をした。

決定のポイント

 被傭者は、その職制上の地位、職務権限、職務内容、給与額等に応じてそれぞれ異なる内容の職務専念義務・誠実義務を雇用者に対して負うのであって、特定の行為が職務専念義務・誠実義務等に反するとして解雇事由に当たるか否かも、その地位等に鑑み個別に判断すべきであるところ、Xは、Y社の管理部長として、総務、人事を統括する重大な職責を負う地位にあるうえ、入社当初から右職務の担当者として年収1200万円という従業員の中では最高の給与を支給されていたことが認められるのであるから、Xは、一般の従業員と比べて高度な職務専念義務・誠実義務を負うものというべきである。

応用と見直し

 従業員は使用者に対し、…

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平成9年7月14日第2160号10面 掲載

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