住友ゴム工業(石綿ばく露)事件(大阪高判令元・7・19) 肺がんで死亡、業務の因果関係否定した一審は 石綿ばく露原因と賠償命令

2020.09.03 【判決日:2019.07.19】
  • TL
  • ツイート
  • シェア
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

  • コメント

 肺がんで死亡したのは石綿が原因として、遺族らが会社に慰謝料等を求めた事案の控訴審。元従業員の一部について、症状や喫煙歴から業務と発症の因果関係を否定した地裁に対し高裁は、10年以上のばく露歴を認めた労災医員の意見などから因果関係を認容。昭和35年時点で会社は石綿の危険性を予見可能であり、保護具を使用したとの主張もないことから安全配慮義務違反とした。

10年間以上も従事 危険性は予見可能

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社は、各種タイヤ・チューブの製造および販売等を業とする株式会社であり、平成15年にO社と合併している。Y社は、神戸工場とO社の工場である泉大津工場、名古屋工場、白河工場、宮崎工場等でタイヤ製造等を行ってきた。Xらは、Y社およびO社の従業員として、神戸工場および泉大津工場でタイヤ製造業務等に従事していた者7人(以下「元Y社従業員ら7人」)の本人および相続人である。

 元Y社従業員ら7人は、前記工場で、33~45年間、タイヤ製造業務等に従事し、元Y社従業員ら7人のうち、1人を除き、既に平成12~29年の間に死去している。

 元Y社従業員ら7人のうち3人の遺族は、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族年金(労災法の遺族補償給付を受ける権利が時効消滅している場合に受けられる年金)を受けており、残り3人の遺族および本人は、労災保険法に基づく給付(遺族補償年金、療養補償、休業補償等)を受けている。

 Xらは、Y社を相手に、甲事件として、元Y社従業員ら7人の一部が作業工程から発生するアスベストおよびタルク(滑石の粉末。アスベストを含有することがある)の粉じんにばく露し、悪性胸膜中皮腫ないし肺がんにより死亡したとして、債務不履行ないし不法行為に基づき損害賠償金等を、乙事件として、Y社従業員としてタイヤ製造業務等に従事していた者が同じくアスベスト等によりばく露し、石綿肺および肺がんに罹患したとして、債務不履行ないし不法行為に基づき損害賠償金等の支払いを求めた。

 一審判決(神戸地判平30・2・14)は、平成24年報告書(「石綿による疾病の認定基準に関する検討会報告書」)に示された知見に照らして、肺がんの労災認定基準である平成24年基準(平24・3・29基発0329第2号)に定められる、累積ばく露量の指標が実質的に認められるか否かを検討するのが相当としたうえで、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

令和2年9月7日第3271号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ