ヤマト運輸事件(静岡地判平9・6・20) 人事考課による昇級差別が不法行為となるか 期待権の侵害あれば成立

1998.09.28 【判決日:1997.06.20】
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組合歴理由に正当な人事考課怠った

筆者:弁護士 開原 真弓(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社(被告)で、車両の整備、点検、管理等の仕事に従事するX(原告)は、職場委員長、青年婦人部長、中央青年婦人副部長、執行委員等を、また、昭和52年から現在まで運輸一般ヤマト運輸支部執行委員、平成4年から運輸一般ヤマト運輸支部書記長等を歴任してきた。

 Y社には、Xの所属する運輸一般ヤマト支部(便宜上「X所属組合」)の他に、全日本運輸産業労働組合連合会(「運輸労連」)、ヤマト運輸労働組合(「対立組合」)が存在していた。なお、対立組合の組合員は約2万人であったが、X所属組合の組合員は60名弱であった。Y社では、就業規則に基づいて定められた人事運用規定に従って毎年4月に昇格人事を行っていた。その規定は、5つの職務とそれらの職務をさらに業務遂行能力、経験・人柄・その他の要素から10等級に分類、初任給(1・2級)、中級職(3・4級)、業務指導職(5級)、業務管理職(6・7級)、経営管理職(8・9・10級)とし、その格付は社内に設けられる審査委員会による判定によって行うとされていた。

 Xは、4級に昇格した昭和52年4月以降は、職場において自動車整備者の班長として仕事の進め方を班員に指示したり後輩の指導にあたり、昭和62年に静岡支店勤務となってからは、65台以上ある車両にっいてエンジン等の整備の他に運送用車両の運行前点検、整備状況の管理、車庫の管理、タコグラフの点検作業などを行う他、器具・機械の保全をはかるための収納庫に工夫をこらすなど、職場環境の改善と整備業務の効率化、合理化に熱意を持って臨んでいた。また、道路運送車両法上の整備管理者(毎月一定の手当が支給される)に選任されるに必要な資格を備えていた。しかし、Xは昭和52年に4級に昇格した後は、昇格候補者になっていたにもかかわらず昇格せず、整備管理者にも選任されなかった。ちなみに、Xと同じ整備関係の仕事に従事しており、Xと年齢、勤続年数等で比較対照されるべき2名の者は、それぞれ昭和63年と平成2年に5級に昇格していた。

 そのような状況の中で、Xは、Y社がXを職務等級4級から5級へ昇格させないことや整備管理者に選任しないことは、元来使用者には他の従業員と平等に取り扱うべき義務違反(債務不履行責任)があり、また「公正な処遇の期待」という法益の侵害(不法行為責任)があったとして、Xが5級に昇格していた場合及び整備管理者に選任されていた場合との差額金145万6510円の支払い並びにY社の不合理な差別による慰謝料200万円の支払いを求めて、本件訴えを提起した。

判決のポイント

 債務不履行の主張については、…

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平成10年9月28日第2218号12面 掲載

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