相模ハム事件(大阪地決平9・6・5) 役職定年到達者を遠隔地に在籍出向は? 必要性、合理性を認める

1998.01.19 【判決日:1997.06.05】
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不当な目的、権利の濫用もない

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 本件は、食肉加工品の製造販売会社の大阪営業所長が、平成8年11月、55歳となり、「役職定年」を迎えたところ、平成9年3月、会社から、『同年4月1日付けで、横浜にある関連会社Sハム販売会社(以下「Sハム販売」)へ出向せよ、と命ぜられ(以下「本件出向」)たのに対し、次の理由でその無効を訴え地位保全の仮処分を求めた事案である。

 ①本件出向命令には債権者の同意がないこと、②債務者の出向規定に定める原則が履行されていないこと、③出向の必要性・合理性もないこと、④本件出向に応じることによる不利益も大きく、本人(以下「債権者))の役職定年の7カ月も前から後任の大阪営業所長を赴任させ、役職定年後の業務について、役職定年以前も以後も、本件出向命令まで、一切指示命令せず、これは本人を退職に追い込むものであり、また、債権者には腰痛の症状があり、出向により主治医の変更等大きな不安があり、さらに役職定年によって賃金を大幅に減額された上、転居を伴う単身赴任を強いられることの経済的・精神的負担はきわめて大きいとして本件出向命令は人事権の濫用で無効であると主張した。

決定のポイント

 1、本件出向に同意がないとする点については、債権者が入社するに際し労働契約を締結し、就業規則その他の規則を遵守する旨を約束している。出向規定によると、債務者における出向は、「①社員を債務者の社員として在籍のまま関連会社または提携会社に派遣することを言い、②その間は債務者の総務部人事課に所属し、…

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平成10年1月19日第2185号12面 掲載

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