労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.07.10 【判決日:2025.01.23】
滋賀県社会福祉協議会(差戻審)事件(大阪高判令7・1・23) 技術者の同意得ないまま配転命じて不法行為? 職種限定に反し過失認める NEW
ジャンル:
  • 配転・出向

 職種限定の合意があった技術職に対し、同意を得ずに命じた配置転換を違法とした最高裁が、不法行為に当たるかの審理のため差し戻した事案。大阪高裁は、職種限定の合意を容易に認識できたとして、会社の過失を認め慰謝料の支払いを命じた。これまでの経緯から会社は他の職種に就かせることは想定しておらず、労働者が技術職を続けたいと発言していたことを考慮した……[続きを読む]

2025.07.03 【判決日:2025.04.17】
懲戒免職処分取消等請求事件(最一小判令7・4・17) 市バス運賃を着服、懲戒免職で退職手当ゼロ? 不支給でも裁量権逸脱否定 ★
ジャンル:
  • 賃金
  • 退職金

 市営バスの運賃1000円を着服し、運転席で電子たばこを複数回使用したとして懲戒免職となった運転手が、退職手当不支給処分の取消しを求めた事案の上告審。最高裁は、被害弁償が行われたことや懲戒処分がないことを斟酌しても、不支給処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものとはいえないと判断。事業の信頼を大きく損なったほか、着服を否認した態度は不誠実と……[続きを読む]

2025.06.26 【判決日:2024.10.17】
東光高岳事件(東京高判令6・10・17) 再雇用契約を更新、賃金減額拒否して雇止めは 変更後の労働条件に合理性
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 定年後再雇用された労働者が、初回の更新に際し、吸収合併した親会社からの賃金減額を拒否して雇止めされた事案。一審は、直前の労働条件と同一内容での更新期待は認められないとした。東京高裁は、労契法19条2号の更新は同一の条件で更新されるものに限定されないが、合併後に条件を統一する必要性から、業績堅調でも賃金減額の合理性を認め、雇止め有効とした……[続きを読む]

2025.06.19 【判決日:2024.07.18】
アクセンチュア事件(東京地判令6・7・18) 勤務歴正しく申告せず中途採用者を内定取消し 経歴詐称理由の解約は有効
ジャンル:
  • 採用内定
  • 労働契約

 中途採用した従業員の職歴を内定後に調査したところ、虚偽があったとして内定を取り消した。職務経歴書に記載のない会社で勤務歴があった。東京地裁は、虚偽申告したのは退職をめぐる紛争を秘匿するためで、これらの事実は従業員の適格性にかかわる重要事項と判断。故意の経歴詐称であり、信頼関係を維持できない不正義性が認められるとして、取消しを有効とした。……[続きを読む]

2025.06.12 【判決日:2024.11.06】
国・中労委(ワットラインサービス)事件(東京高判令6・11・6) 個人事業主からの団交拒否不当とした一審は? 副業可能でも「組織組入れ」
ジャンル:
  • 労働組合

 個人事業主が加盟する労働組合との団交拒否を不当労働行為とされた会社が、労委命令の取消しを求めた事案の控訴審。東京高裁は、事業組織への組入れに関して、個人作業者は副業・兼業できたが、多くは会社の報酬等で生計を立てていたと推認。請負契約を結んだ別法人の個人作業者も働いていたが、委託法人が組織に組み入れられているかどうかは影響しないとした。……[続きを読む]

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。