建設技術研究所事件(大阪地判平24・2・15) 3500時間働きうつ状態に、出社命じたが応じず解雇 産業医らは就労可能と判断

2012.10.29 【判決日:2012.02.15】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 年間3565時間という著しい長時間労働で抑うつ状態となり休業中の従業員が、出社命令に応じず解雇されたもので、大阪地裁は、産業医らは就労可能と診断しており、約4カ月半も正当な理由なく欠勤を続けたことは解雇事由に当たると判示。発症と業務の相当因果関係を認め、業務の負担軽減を怠ったことは安全配慮義務違反として400万円の賠償支払いを命じた。

理由なく欠勤継続 過重労働に賠償を

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 大学院を修了したXは、平成13年4月、主として国、地方自治体などの公共工事のコンサルタントを業とするY社に入社し、大阪支社河川部へ配属された。

 Xは平成14年には、午前2時または、それ以降までの残業が50回程度(うち午前6時までの残業が10回以上)、多くの休日出勤もあり、年間労働時間が約3565.5時間、時間外労働時間が月平均約135時間であった。同年6月ころ、腹痛、血尿、下肢腫脹で通院し、12月ころ、朝の出社前の嘔吐、倦怠感の症状が発生した。平成15年1月15日からは、昼過ぎないし夕方の出勤が常態化し、2月26日、E医師より身体表現性障害、3月6日、G医師より身体表現性障害、同月19日、E医師より身体表現性障害のため1カ月の休養を要すると診断され、4月2日から5月1日まで出勤せず自宅療養した。4月23日、E医師よりほぼ寛解状態にあり、5月2日以降の就労は可能と診断され、同日、復帰した(7月28日、完全寛解の状態と診断)。

 しかし、12月1日は欠勤し、翌2日、E医師より抑うつ状態のため2週間の休養を要すると診断され、自宅療養に入り、平成16年5月6日、復帰したが、平成17年4月25日から出社しなくなり、7月21日には年休が全て消化され、翌22日からは欠勤状態となった。9月21日にI統括産業医の診察を受け、同月24日には就労可能と診断されたが、出社しなかった。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成24年10月29日第2894号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。