国・中労委(ワットラインサービス)事件(東京高判令6・11・6) 個人事業主からの団交拒否不当とした一審は? 副業可能でも「組織組入れ」

2025.06.12 【判決日:2024.11.06】
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 個人事業主が加盟する労働組合との団交拒否を不当労働行為とされた会社が、労委命令の取消しを求めた事案の控訴審。東京高裁は、事業組織への組入れに関して、個人作業者は副業・兼業できたが、多くは会社の報酬等で生計を立てていたと推認。請負契約を結んだ別法人の個人作業者も働いていたが、委託法人が組織に組み入れられているかどうかは影響しないとした。

主たる収入を得る労組法の労働者に

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 電気メーターの物流等を営むX社のK部署は、A社から受注する計器工事を主な業務としている。当該工事に従事する作業者は、X社が請負契約(以下「本件請負契約」)を締結した個人作業者と、X社と委託法人が請負契約を締結し、委託法人が雇用契約または請負契約を締結した法人作業者に分類される。個人作業者らは、平成30年11月頃、Y1労働組合の分会を結成した。Y1はY2労働組合に組織加盟している。

 Y組合らは、12月7日付で、X社に対し、個人作業者の労働組合への加盟と分会の結成等を通知するとともに、翌年度の計器取替工事等に関する要求、分会幹部Bに対する請負契約解除の撤回等を申し入れたが、X社は、個人作業者はX社が労働契約を締結している従業員ではないとして団体交渉を行う予定はない旨の回答をし、以後、同様のやり取りを繰り返した。Y組合らは、同月17日、東京都労働委員会に対し、不当労働行為救済命令申立てをした。

 X社は個人作業者に対し、同月20日付で、本件請負契約は同31年3月20日付をもって終了する旨通知し、契約期間を同年1月21日から令和2年3月20日までとする平成30年12月27日付請負契約書を交付し、同日までに署名することを求めた。Y組合らは、平成30年12月26日付でX社に対し、契約内容の不利益変更の中止と契約更新手続期限の延期等を要求し、団体交渉を申し入れたが、X社は以前と同旨の回答をし続けたため、同31年1月18日、追加の不当労働行為救済命令申立てを行った。

 都労委は、X社の対応は労組法7条2号、3号の不当労働行為に該当するとの初審命令を発し、中央労働委員会も再審査を棄却する旨の命令を発したため(以下「本件命令」)、X社は、本件命令の取消しを求めて提訴したところ、一審(東京地判令6・4・25)が請求を棄却したので、控訴した。

判決のポイント

1 (労組法)5条1項は、労働委員会に対し、労働組合が法2条及び法5条2項の要件を具備するか否か審査すべき義務を課しているが、この義務は、…

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令和7年6月16日第3501号14面 掲載
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