専修大学事件(最二小判平27・6・8) 労災保険給付を受給し休業、打切補償で解雇可能? 使用者の補償と実質は同一 ★

2015.08.24 【判決日:2015.06.08】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 業務上傷病で休業中、平均賃金1200日分の打切補償を支払い解雇したところ地位確認を求められた。一審、二審は使用者から災害補償を受けず打切補償の条件を満たさないとしたが、最高裁は労災保険法の目的や補償内容から、労災給付は使用者の補償と実質同じと判断。治ゆまで給付は続き、労働者の保護を欠くともいえないとした。解雇の効力を審理するため差し戻した。

労基法の制限解除 差戻して効力審理

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、業務上の疾病により欠勤・休職し労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付および休業補償給付を受けている被上告人が、上告人から打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払いを受けたうえでされた解雇につき、被上告人は労基法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、解雇は同法19条1項ただし書所定の場合に該当するものではなく同項に違反し無効であるなどと主張して、上告人を相手に、労働契約上の地位の確認等を求めた事案である。

 一審(東京地判平24・9・28、本紙第2910号)および控訴審(東京高判平25・7・10)は、解雇は労基法19条1項に違反し無効であるとして、請求を認容した。

判決のポイント

 (1)労災保険法は、業務上の疾病などの業務災害に対し迅速かつ公正な保護をするための労働者災害補償保険制度の創設等を目的として制定され、業務上の疾病などに対する使用者の補償義務を定める労基法と同日に公布、施行されている。業務災害に対する補償及び労災保険制度については、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成27年8月24日第3030号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。