フィリップス・ジャパン事件(東京地判令6・9・26) 解雇され賃金請求、再就職したから退職合意? 「就労の意思」喪失を認めず

2025.06.05 【判決日:2024.09.26】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 能力不足を理由に解雇され就労できなくなったとして、賃金等を請求した事案。賃金など好条件で再就職していたことから、会社は就労の意思は喪失し退職に合意したと主張した。東京地裁は、解雇から産休までの月給の請求権を認めた。保育園の入所資格を得るため就活をする必要に迫られたもので、就労意思の喪失を否定した。なお、賞与請求権は発生していないとした。

労働条件問わない 賞与は請求権なし

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 被告会社に雇用された原告は、被告会社から能力不足を理由として令和4年1月15日限りで解雇されたこと(以下「本件解雇」という)により同日以降に被告会社で労務を提供することができなかったと主張し、被告会社との間の雇用契約に基づく本件解雇の後の令和4年3月から本判決確定の日までの月例賃金および賞与等を請求した。さらに、本件解雇に伴って行われた被告cおよび被告dによる退職勧奨および各言動には違法があると主張し、前記各被告らについては民法709条の不法行為責任に基づく損害賠償として、前記各被告らの使用者である被告会社には民法715条の使用者責任に基づく損害賠償を請求した。

判決のポイント

1 原告は、令和4年3月1日に、賃金月額77万9200円、所定労働時間7時間などの労働条件でfに就職したものであるが、一般に、解雇された労働者が、解雇後に生活の維持のため、解雇後直ちに他の就労先で就労すること自体は復職の意思と矛盾するとはいえず、不当解雇を主張して解雇の有効性を争っている労働者が解雇前と同水準以上の労働条件で他の就労先で就労を開始した事実をもって、解雇された就労先における就労の意思を喪失したと直ちに認めることはできない。…原告においては保育園の入所資格を確保し自らの職歴を確保するとの観点から直ちに就職活動を行う必要性に迫られ、その就職活動の結果として、fへの就職が決まったと認めるのが相当であるから、たとい賃金額や所定労働時間に関してfでの労働条件が被告会社よりも良好なものであるとの評価をし得るとしても、原告において、fに就職した時点で、被告会社への就労意思が喪失したものとは認め難い。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
令和7年6月9日第3500号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。