モルガン・スタンレー・グループ事件(東京地判令6・6・27) ハラスメント調査結果を社外役員らに伝え懲戒 秘密保持の業務命令に違反

2025.05.22 【判決日:2024.06.27】
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 ハラスメントの調査結果に納得せず、親会社の役員らにメールを送った従業員を譴責処分後に普通解雇した。会社は事前に秘密保持契約を結び、業務命令で担当者以外へ調査内容の通知を禁じた。東京地裁は、苦情処理に支障が及ぶおそれがあることから業務命令を有効とした。被害事実は真実性を欠くなど譴責を有効としたうえ、経営陣の業務を妨げるとして解雇相当とした。

苦情処理で支障が 被害事実は認めず

筆者:弁護士 小鍛冶 広道(経営法曹会議)

事案の概要

 外国人である原告が、雇用されていた被告の人事部に対し、出向先において人種・国籍を理由としたハラスメントや昇進差別を受けた旨の申告(本件申告)を行い調査を求めたため、被告は原告との間で事前に秘密保持契約書(本件秘密保持契約書)を締結したうえで調査を行い、調査結果(人種的ハラスメントや昇進差別は認められない旨等)をフィードバックした。しかし、当該結果に納得しない原告が調査担当者や被告親会社CEO、被告関連会社の社員等に対するメール送信を繰り返す等したため、被告は原告に対して自宅待機を指示するとともに、本件申告の被害事実・調査が行われた事実・調査結果について、調査担当者および人事担当者以外の者には伝達しないように求める業務命令(本件業務命令)を発令した。

 しかしながら、原告はその後も連絡行為を続けたことから、被告は本件秘密保持契約書および本件業務命令に違反したことを理由とする譴責処分(本件処分)を実施し、さらにその後も原告が被告親会社CEOらに対して対応を非難する批判的メールを送信したこと等を理由に普通解雇(本件解雇)を行ったことに対し、原告が訴訟を提起した。

判決のポイント

ア 本件秘密保持契約書は有効であり、調査期間中のみならず調査終了後にも及ぶもの、調査の内容のみならず本件申告の被害事実を含むものであると認められる。本件業務命令の有効性について、…原告が、…

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令和7年5月26日第3498号14面 掲載
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