三栄珈琲事件(平3・2・26大阪地判)  自由裁量性のある労働における黙示の残業命令の扱い

1993.05.24 【判決日:1991.02.26】
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認めない旨の明示が肝要

筆者:弁護士 安西 愈(中央大学講師)

事案の概要

 本件は、会社の経営する喫茶店に1人で勤務し、パートを雇用してその喫茶店を営業していた労働者が、時間外労働手当が不払いであると主張して、その支払いを求めた事案である。争点は、当該喫茶店(名前を「伽羅」という)における原告の労働というものは、1人勤務であるため被告会社の指揮命令下で行われたものではなく、原告の自由裁量に任されていた面があり、時間外労働も会社は命じていなかったが、労基法32条にいう「労働させ」とは、単に使用者が労働者にこれを指令したり依頼したりする場合に限らず、労働者からの申し出によって労働を許可した場合はもとより、オーバータイムの結果になるのを使用者が知りながら放置をしたということで、これを黙認した場合には黙示の残業命令をなしたものといえるかにある。

判決のポイント

 労働者が使用者の業務に従事した場合であっても、それが全く使用者の関与なしに労働者の独自の判断で行われた場合にはこれを労基法が規制する労働時間ということはできないと解するのが相当である。

 そこで、…

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平成5年5月24日第1961号10面 掲載

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