労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2019.07.25 【判決日:2019.04.25】
未払賃金等請求事件(最一小判平31・4・25) 労使合意で未払賃金「放棄」、退職者へ効力は? 賃金債権消滅の判断を覆す
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  • 賃金
  • 賃金請求権

 経営状況から賃金の支払いを2割猶予する労働協約を3年にわたり締結後、退職した組合員から差額を求められた。訴訟提起後に賃金債権を放棄する労使合意がなされていた。債権は消滅するとした原審に対し最高裁は、労組が本人を代理して合意したなどの事情はうかがわれず、債権放棄の効力は及ばないと判断。発生した賃金請求権を事後の協約で不利益に猶予・変更でき……[続きを読む]

2019.07.18 【判決日:2018.11.21】
セブン-イレブン・ジャパン事件(東京地判平30・11・21) コンビニ店主が「労働者」と未払賃金など求める 事業者性否定まではできず
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  • 労基法の基本原則
  • 労働者

 コンビニ店主が、労働者に当たるとして未払賃金等を求めた。使用従属性が認められるとの主張に対し東京地裁は、労働者への指揮監督とは性質が異なるなど、事業者性を減殺し労働者性を肯定できるまでの事情はないと判断。フランチャイズ契約は労務の提供が目的ではなく、自ら業務を行うか等は経営者に委ねられていた。営業場所や時間の指定は契約の内容にすぎないな……[続きを読む]

2019.07.11 【判決日:2018.12.19】
北日本放送事件(富山地判平30・12・19) 定年後も番組制作、減った年収550万円請求 約3割の基本給差など容認
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 退職
  • 定年・再雇用

 定年後も番組制作を担当し、正社員との賃金の相違は不合理として、年収の差額約550万円の支払いを求めた。富山地裁は、職務の内容等が異なるほか雇用継続給付や企業年金の存在を考慮。両給付を足すと正社員時の基本給を上回った。賃金に関して労組との協議は十分行われており尊重すべきとした。約27%の基本給差は不合理といえず、祝金は恩恵的給付で法の適用……[続きを読む]

2019.07.04 【判決日:2018.07.02】
化学メーカーC社事件(東京地判平30・7・2) 有機溶剤で化学物質過敏症を発症と賠償求める 濃度測定せず安配義務違反
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  • 労働安全衛生法

 有機溶剤が発散する環境で化学物質過敏症を発症したとして、損害賠償等を求めた。東京地裁は、作業環境測定は安全配慮義務の内容に含むと判断。濃度を測定して保護具を支給等すれば、ばく露を回避できたと推認し、発症との相当因果関係を認めた。安衛法や有機則の公法的規制が直ちに安全配慮義務の内容になるとはいえず、規制の趣旨や具体的状況で判断するとしてい……[続きを読む]

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