労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2019.06.27 【判決日:2018.06.12】
エボニック・ジャパン事件(東京地判平30・6・12) 考課が「普通の水準」満たさないと61歳を雇止め “平凡な成績”なら基準充足
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇
  • 退職
  • 定年・再雇用

 定年から1年後に再雇用の基準を満たさず雇止めされたため、地位確認やバックペイを求めた。東京地裁は、3年間の人事考課結果が「普通以上の水準」とは、会社主張の「平均以上」ではなく、高年法の趣旨から大半が達成し得る「平凡な成績」と判断。3年を通じた評価で考えるのが合理的とした。65歳までの継続期待を認めたうえで、年間賞与の未払分の支払いも命じ……[続きを読む]

2019.06.20 【判決日:2019.01.24】
日本郵便(大阪)事件(大阪高判平31・1・24) 契約社員が季節や病気時の休暇認められず控訴 「雇用5年超」格差は不合理
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 均等待遇

 契約社員が、手当や休暇制度で正社員と格差があるのは違法として損害賠償を求めた事案の控訴審。大阪高裁は、夏冬の休暇や病気休暇などを付与すべきかの判断において、「雇用期間が5年超」の基準を判示。労働契約法の無期転換権に触れ、相違を不合理とした。一審で格差を不合理とした扶養手当は、有為な人材確保の目的や効果があり、正社員のみも不合理とはいえな……[続きを読む]

2019.06.13 【判決日:2018.09.11】
ジャパンビジネスラボ事件(東京地判平30・9・11) 保育園決まったが正社員に復帰できず地位確認 育休後の有期契約に「合意」 ★ 
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  • 労働契約の期間
  • 労働契約

 育休後に契約社員にさせられ雇止めされたのは違法として、正社員の地位確認などを求めた。東京地裁は、保育園が決まらない中で労働契約を継続するには週3日勤務になる必要があり、契約変更の合意を有効と判断。会社は協議なしに戻れないと説明していた。一方、期間満了の雇止めに合理的理由はなく、面談で復帰時期や条件を示さないなど会社の不誠実な態度に慰謝料……[続きを読む]

2019.06.06 【判決日:2019.02.20】
メトロコマース事件(東京高判平31・2・20) 残業の割増率のみ格差不合理とした一審判断は 10年勤続した有期に退職金
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 均等待遇

 駅売店の契約社員ら4人が、同業務の正社員との待遇格差は不当として、差額賃金等を求めた。残業の割増率の相違のみ不合理とした一審に対し東京高裁は、労働条件の比較対象を労働者側の選択に委ねたうえで、勤続約10年の2人に退職金の「功労報償的な部分」を支給しないのは不合理と判断。正社員の算式を用いてその25%の支払いを命じた。契約は原則更新、65……[続きを読む]

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