アクセンチュア事件(東京地判令6・7・18) 勤務歴正しく申告せず中途採用者を内定取消し 経歴詐称理由の解約は有効

2025.06.19 【判決日:2024.07.18】
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 中途採用した従業員の職歴を内定後に調査したところ、虚偽があったとして内定を取り消した。職務経歴書に記載のない会社で勤務歴があった。東京地裁は、虚偽申告したのは退職をめぐる紛争を秘匿するためで、これらの事実は従業員の適格性にかかわる重要事項と判断。故意の経歴詐称であり、信頼関係を維持できない不正義性が認められるとして、取消しを有効とした。

過去勤務先と紛争 適格性にかかわる

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、Yから採用内定を受けていたXが、その後の経歴調査により虚偽の経歴の申告が判明したなどとして同内定を取り消されたことにつき、内定取消しが無効であると主張し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求める事案である。

 Xは、令和4年初め頃、Yの中途採用の求人にエントリーし、応募フォームに従って、履歴書および職務経歴書を提出した。履歴書の「職務経歴」欄には、以下のような記載があった。「平成23年4月 個人事業主 開業」

 また、職務経歴書には、勤務先として以下のような記載があった。「2020年(編注:令和2年)6月~2021年(令和3年)6月 勤務先 D、2021年6月~2022年(令和4年)3月 勤務先E/F」

 Yは、採用内定後、調査会社に依頼して、Xについてのバックグラウンドチェックを実施した。バックグラウンドチェックにより、Xが令和3年6月から同年11月までG社に雇用されていたこと、および、Xが令和4年3月の1カ月間H社に雇用されていたことが確認された。

 Yは、令和4年8月30日、Xに対し、採用内定を取り消す旨を通知し、31日にオファー撤回通知書を送付した。

 本件の主な争点は、本件内定取消しの有効性である。本判決は、Xの請求を棄却した。なお、控訴審(東京高判令6・12・17)も内定取消しを有効とした(本紙令7・1・13付3480号2面)。

判決のポイント

 入社日を令和4年9月1日とする…オファーレターに「このオファーと雇用は、あなたが雇用契約書記載の『条件』(雇用前審査〈すなわちバックグラウンドチェック〉、雇用前健康診断及び第三者の機密情報若しくは専用情報の持ち込みまたは使用の禁止を含むがこれに限らない)を満たすことを条件とする」旨が記載されている…。…XとYとの間で、…

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令和7年6月23日第3502号14面 掲載
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