国・中労委(アート警備)事件(東京高判令2・8・20) 団交開催に3つの条件、組合合意せず交渉拒否 録音禁じる正当な理由なし ★

2022.08.25 【判決日:2020.08.20】
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 団交の開催に当たり録音禁止などの3条件を求めた会社が、合意に至らず交渉を拒み続けたために不当労働行為とされ、救済命令取消しを求めた行政訴訟の控訴審。東京高裁も、団交拒否には正当な理由はないとした。交渉内容の正確な記録は労使双方に必要性があり、企業秘密は一時的な録音停止で対応可能等としている。一切の口外禁止を課すことも労働組合の利益を害するとした。

正確な記録必要で 口外禁止も不利益

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 控訴人は警備請負に関する業務等を行う会社、参加人は控訴人の一部の従業員(校務員)が加入している合同労組である。平成27年8月12日および12月2日、参加人は、控訴人に対し、団体交渉の申し入れをした(以下「本件団交1および2」という)。

 控訴人は、①団体交渉に関する情報の一切を秘密として保持すること(守秘義務条件)、②録音および撮影を行わないこと(録音撮影禁止条件)、③控訴人代理人の議事進行に従うこと(議事進行条件)を内容とする団交3条件に同意したことを条件に、本件団交1および2の候補日時および場所を連絡する旨回答した。参加人は、団交3条件に同意しなかったことから、本件団交1および2は開催されなかった。平成28年5月25日にも、参加人は控訴人に対し団体交渉を申し入れたが(以下「本件団交3」という)、控訴人は、団交3条件への同意を条件とするなどの回答を行い、本件団交3は開催されなかった。

 そこで、参加人は、本件団交1~3の拒否を理由に救済申立てを行ったところ、都道府県労委、中労委とも、本件団交1~3の拒否は不当労働行為(団体交渉拒否)に当たるとして救済命令を命じた。控訴人が同救済命令の取消しを求めたが、原審(東京地判令2・1・30)は控訴人の請求を棄却した。…

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令和4年8月29日第3366号14面 掲載

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