中央労働基準監督署長事件(東京高判平20・6・25) 事務連絡会後一杯、帰路の事故を一審は通災に 酒席中心の7時以降は“外” ★

2008.11.17 【判決日:2008.06.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 事務連絡の会議後、任意参加の会合で飲酒した事務管理部次長が、帰宅中に駅階段から転落死し、妻が通勤災害の給付を請求したところ不支給となったため、その取消しを求めた。一審は会合の業務関連性を認めつつ、飲酒による事故とはいえないと処分を取り消した。控訴審で東京高裁は、会合目的は7時に終了し、その後3時間超飲酒していたこと等を理由に一審を取り消した。

3時間超える逸脱 就業との関連失う

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 甲の夫である亡Aは、昭和49年4月1日、日特建設株式会社に雇用され、平成11年4月から、同社東京支店の事務管理部次長の役職にあった。

 東京支店では、毎月月初めに主任会議を開催しており、本店、支店からの通達、収支報告、営業・工事事務面での報告、安全衛生面についての指導が行われていた。また主任会議終了後、勤務時間外である午後5時以降、飲酒を伴う本件会合が開催され、主に主任会議に出席しない事務管理部等の従業員が出席していた。

 Aは、平成11年12月1日、主任会議に出席し、これが終了した午後5時過ぎから、酒食を伴って行われた本件会合に出席した。Aは、午後10時15分ころ、退社して、本件会合に出席した部下とともに、帰宅の途についたが、午後10時27分ころ、地下鉄T駅の入り口下り階段から18段下の踊り場まで転落して後頭部を打撲し、負傷した。Aは、直ちにS病院に搬送され、治療を受けたが、意識を回復しないまま骨折を伴う頭蓋内損傷により、同月13日午後2時24分、死亡した。

 Aの妻である甲は、Aの死亡事故が、労災保険法7条1項2号にいう通勤災害に該当するとして、中央労働基準監督署長に対し、遺族給付および葬祭給付の請求を行った。しかし同署長は、通勤災害には当たらないとして、甲の請求に対していずれも給付しない旨の決定をした。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成20年11月17日第2705号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。