日本システム開発研究所事件(東京高判平20・4・9) 合意不成立の年俸減額は違法と差額賃金を請求 規定なく一方的決定権なし

2008.10.27 【判決日:2008.04.09】
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 公的機関から調査・研究を受託する財団法人の研究室長らが、労使の合意なく一方的に年俸を減額されたとして差額分を請求した事案の控訴審。東京高裁は、20年以上前から成果・業績評価基準等の制度化および就業規則等への明文化がなされておらず、使用者に評価決定権はないと判示。前年度の支給額を次年度も適用せざるを得ないとして、一審同様に請求を認容した。

前年度の額を適用 制度・明文化怠る

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、公的機関から調査・研究を受託する財団法人Y(一審被告、控訴人)に勤務する研究室長または研究室員であるX1~X5が、一方的に賃金を減額されたとして、従前の賃金との差額分を請求した事案である(以下では、非年俸者X5に関する部分は割愛)。

 Yは、20年以上前から、原則満40歳以上の研究職員を対象に、個別交渉によって毎年の賃金額を決定する「年俸制」を、就業規則を変更せずに実施してきた。年俸制適用者については、例年6月に個人業績評価と非年俸者の改定基準表を参考に、役員が目安額を提示したうえで、役員2人と本人の個別交渉を経て、年間支給額と支払方法を決定してきた。

 しかし平成15・16年度はX1らを含む研究室長が定性評価、定量評価の基礎資料となる各研究室の「付加価値計算表」の提出を拒んだため、Yは右各年度の個別交渉を申し入れずに平成14年度の賃金額を凍結して支給した。…

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平成20年10月27日第2702号14面 掲載

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