PSD事件(東京地判平20・3・28) 所属部門のミスが会社損害に、退職金で相殺!? 裁量の逸脱・濫用で無効に

2009.02.09 【判決日:2008.03.28】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 技術部門のミスが原因で顧客に生じた損害金を、自己都合退職した同部門に属する4人の退職金から減額したところ、「賃金全額払い」に違反するとして4人が差額を請求した。東京地裁は、退職金規程に成果や業績に応じた減額規定はあるが、減額理由について会社から主張はなく、損害金を負担させるための減額であり、裁量を逸脱、濫用したもので無効と判示した。

賠償金を肩代わり 他に減額事由なし

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、コンピュータシステムの設計・開発等を業とする株式会社である被告の従業員だった原告らが、被告に対し退職金の支払いを求めた事案である。

 原告甲野、乙山、丙川、丁原は平成18年7月31日付けで、それぞれ自己都合により退職し、その後、平成18年12月27日、被告は、退職金として、原告甲野に対し103万7550円を、乙山に対し125万4350円を、丙川に対し123万7550円を、丁原に対し49万2220円をそれぞれ支払った。

 退職金は、原告らが所属した技術部門のミスにより被告が顧客に支払った損害金を同部門のスタッフ数(6人)で除した金額(23万7250円)を被告が控除したものである。

 そこで、原告らは、被告に対し、控除が労基法24条に違反し無効であり、控除前の金員の支払いを求めた事案であるが、適用されるべき退職金規程に争いがあるため、2つの退職金規程に基づき、主位的請求と予備的請求を申し立てた。

 なお、原告らが主位的請求として主張した退職金規程1は、被告が正規の退職金規程として作成していたと判断するのは困難であるとして、請求を斥けた。そこで、以下においては、原告らの未払い退職金の有無およびその額について紹介する。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成21年2月9日第2716号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。