国・大阪中央労基署長事件 (大阪地判平23・10・26) 終業後も顧客の対応で過労死、労災不支給の判断は 接待でも業務の延長と推認 ★

2012.07.16 【判決日:2011.10.26】
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 週5日の接待で業務過重となり、脳疾患を発症し死亡したとして、労災不支給の取消しを求めた事案。大阪地裁は、接待の必要性を会社は承認しており、費用も負担したことなどから業務の延長と推認できると判示。発症前半年の残業は月約76時間に及ぶほか、24時間オンコール勤務が求められ不規則な勤務状態にあるなど、業務の質量ともに過重として業務起因性を認めた。

会社は必要性承認 質量とも過重労働

筆者:弁護士 石井 妙子 (経営法曹会議)

事案の概要

 Aは、携帯電話等の通信機器の販売、通信ネットワークの構築についての世界的メーカーの日本法人に勤務し、大阪事務所長として、東海および西日本全域の通信ネットワークの構築・保守管理等の責任者であったが、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血により死亡した。

 Aの配偶者であるXは、本件発症・死亡は過重労働に起因する業務上災害であるとして、労基署長に対し労災申請を行ったが、不支給決定がなされたため、当該処分の取消しを求めて提訴した。

 Xは、週に5回程あった顧客等の接待や、出張の移動時間についても、労働時間として扱うべきであり、また、「オンコール体制」のもとで、Aは24時間携帯電話の携帯を義務付けられ、通信障害などのトラブルへの対応が求められていたのであるから、この時間についても、月10時間の負荷として評価すべきであると主張した。

判決のポイント

 1 接待の労働時間性

 一般的には、接待について、業務との関連性が不明であることが多く、直ちに業務性を肯定することは困難である。…

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平成24年7月16日第2881号14面 掲載

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