第四銀行事件(平4・8・28東京高判) 就業規則の不利益変更 合理的か否かの基準は

1992.11.16 【判決日:1992.08.28】
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必要性、内容等から判断

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 銀行(株式会社第四銀行・一審被告・被控訴人)では、従来、就業規則において、「職員の停年は満55歳とする。但し、願出により引続き在職を必要と認めた者については3年間を限度として、停年後在職を命ずることがある」と規定していたが、定年延長についての社会的関心が高まる中で従業員労働組合と交渉を重ね、昭和58年3月30日定年満55歳を満60歳に延長し、延長後の処遇を取り決めた新たな労働協約を締結するとともに、同年4月1日「行員の定年は満60歳とする」と就業規則を変更し、同日からこれを実施した。

 A(一審原告・控訴人)は昭和4年11月4日生まれで昭和28年4月1日入行し、昭和54年8月から融資部の部長補佐(非組合員)の職にあり、昭和59年11月4日満55歳に達したもので60歳に達した平成元年11月4日をもって銀行を定年退職したものであるが、以前の定年後在職制度は実質満58歳定年制を認め、55歳達齢以後も賃金条件はそれ以前と全く変わらなかったのに、新しい60歳定年制では55歳以後の賃金は引き下げられ、60歳定年までの定年延長による5年間の総賃金(賃金・賞与・退職金)が、従来の制度における55歳から58歳までの3年間の総賃金よりも僅かに189万円多いだけで、利息相当分を考慮すると、3年間の賃金で5年間働き2年間はタダ働きになる。このようなAの既得権を侵害し、一方的に労働条件を不利益に変更する就業規則は効力を有しないとして、差額の賃金等の支払いを求めて訴えを提起した。

判決のポイント

 本事案の争点は次の2つである。①は就業規則の不利益変更の効力が是認される程度の合理性を具備しているか否かであり、②は変更後の就業規則と同じ内容の60歳定年制に関する労働協約の効力が労働組合法17条により非組合員であるAに及ぶかである。…

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平成4年11月16日第1937号10面 掲載

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