エッソ石油事件(平3・8・9大阪地判) 業務変更命令違反と懲戒

1992.03.09 【判決日:1991.08.09】
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直ちに解雇は行き過ぎ

筆者:弁護士 畑 守人(経営法曹会議)

事案の概要

 被告会社は、昭和57年1月1日付で全社的規模での営業組織の変更及びこれに伴う人事異動を実施することとした。機構改革に伴い大阪製品支店潤滑油課に所属し潤滑油の販売に従事していた原告は、直売課へ配属され潤滑油及び燃料油の販売を担当することとなった。

 被告と原告の加入する労働組合との間の労働協約には、組合員に重大な影響を与えるような職制機構の改廃や会社経営上の重要な変動があるときは組合に通告するとの規定があり、被告は機構改革を組合本部に通告し、本社・本部間で機構改革につき5回の団体交渉をもった。また、組合本部は機構改革の具体的内容・労働条件の変更に関する団体交渉を各支部・支店間で行うよう指示した。

 大阪支部と大阪支店との団体交渉は4回開かれたが、支部は機構改革が支部に通知されておらず労働協約違反であり、撤回すべきであると主張した。支店は機構改革により労働条件に重大な影響を受ける組合員はいないと説明したが、支部は機構改革が人員削減・労働条件低下をもたらし、原告にも重大な影響を与えると主張した。支店は組合員に重大な労働条件の変更があれば、当該事項につき具体的に団交する旨述べたが支部は労働条件に関する具体的指摘をしなかった。支店と支部は主張が平行線であることを確認した。

 被告は原告に対し、機構改革に伴う担当業務変更につき、燃料油販売に関するトレーニングに出席すること、顧客等の引き継ぎ手続きをなすべきこと、新担当顧客関係の営業をすべきこと、旧担当顧客訪問の禁止等を指示したが、原告はいずれも拒否し、旧担当業務を継続した。被告は原告に書面で業務命令を発したが、原告が拒否したため7日間の出勤停止処分に付した。更に、その後も原告が新担当業務を拒否し、再度の業務命令書にも従わないため、原告を懲戒解雇した

判決のポイント

 1、機構改革は顧客志向の営業方針とサービスを徹底し、販売活動を効果的に遂行する営業体制を再構築するという観点から実施したものであり、…

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平成4年3月9日第1904号10面 掲載

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