新潟労災病院事件(新潟地高田支部決平6・8・9) 反覆更新の嘱託職員を雇止めに 回避努力に欠け許されない

1995.05.01 【判決日:1994.08.09】
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継続することが期待されていた

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、反覆更新されてきた有期雇用契約の雇止めが争われたものである。

 病院の外来部門に勤務する有期契約の嘱託職員4名は、雇用契約の更新を繰り返し、勤続年数は短い者で約2年、長い者で約18年となっていた。病院は病棟の老朽化・狭隘化が顕著となったため、改築を行い病棟数を7病棟から8病棟に増やし、これに伴い、外来部門に一般職員(看護婦)を配置することにした。

 これは病棟部門の看護婦に欠員等が生じた場合に備えて夜勤等が可能な一般職員(嘱託は一般に夜勤等を希望しない)を配置することが望ましく、また外来部門でも臨機応変かつ的確に患者と対応をするには看護助手ではなく看護婦の配置が望ましいとの方針に基づくものであった。そこで、外来部門で勤務する嘱託職員が余剰人員となったため、病院は嘱託職員を期間満了により雇止めとしたので嘱託職員のうち右4名が雇止めの効力を争ったものである。

決定のポイント

 本件雇用関係は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となったとまではいえない。しかし、雇用関係を継続することが期待される関係であって、雇用期間の満了により雇止めをするに当たっては、解雇に関する法理が類推され、雇止めが客観的に合理的理由がなく社会通念上妥当なものとして是認することができないときには、その雇止めは信義則上許されないと解するのが相当である。そして、その場合には期間満了後における法律関係は従前の労働契約が更新されたと同様の法律関係になると解される。

 本件についてみると、…

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平成7年5月1日第2055号10面 掲載

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