エグゼ事件(東京地判平6・5・9) 勤務時間定め、月給制…請負? 実態から雇用契約と認定

1995.01.30 【判決日:1994.05.09】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

当事者の意思確認し書面契約を

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 本件は、コンピュータ会社が、病院のコンピュータシステム開発に従事させる目的でシステムエンジニアたる原告を契約社員として採用したところ、原告が同業務に従事したにも拘らず被告が約定の賃金を払わないために、原告が退職して訴に及んだという事案。会社側は、「受託業務に関する外注基本契約書」を根拠に、原告との契約は請負契約であり、原告は請負業務を完成しなかったと主張した。

 これに対して本件判決は、同契約書は「原告と被告との契約関係につき真実を記載した書面ということはできず、訴外病院においてコンピュータのシステム開発に従事する目的で契約社員として雇用された原告と被告間の契約が、請負契約ではなく雇用契約」と認定し、原告主張の賃金請求額の一部を認めた。

判決のポイント

 被告Y社は、原告Xとの間で、X主張の雇用契約を締結したことはなく、Xとの間で締結した契約は、業務委託に関する外注基本契約、すなわち、Y社は、NTT関東逓信病院から日本データコムが請負った検査データ管理システム及び製造業務を一部請負い、この一部をXに請負わせたものであり、原告は、右請負業務を完成させずに途中で放棄したと、主張した。

 この点についてXは、本件求人広告の職種のうちシステムエンジニアに応募し、平成4年11月5日、被告X会社のY社長らの面接を受けた。この際、Y社長らは原告に対し、仕事内容はNTT関東逓信病院内のコンピュータによる検査システムの開発であること、詳細については後日連絡するので自宅で待機することを述べた。これに応じ原告は、連絡のあった同年12月1日に被告に赴き、Y社長から仕事の開始が確定していないので、引き続き自宅で待機していること、但し、同月分の給与として半額を保証することを述べられるとともに、給与は、契約社員で1カ月42万円、正社員で1カ月34万円であり、勤務場所はNTT関東逓信病院で、勤務時間は午前8時30分から午後5時まで、休日は完全週休2日制であるとの説明を受け、これに対しXは、給与が高く仕事が途切れることがないようにするということから契約社員となることの希望を述べた。

 Xは、連絡を受けた同月14日、Y社に出社、Y社長から日本データコムに案内され、同社の社員から仕事の具体的な説明を受けた。

 このようにしてXは、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成7年1月30日第2042号10面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。