チェース・マンハッタン銀行事件(東京地判平6・9・14) 業績悪化から、従業員の同意を得ず賃金を減額したら

1994.11.28 【判決日:1994.09.14】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

一方的不利益変更でダメ

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は業績が悪化したY銀行が、合理化計画による経費削減の一環として、従業員の同意を得ることなく賃金の減額措置を行ったところ、従業員が、右減額措置を無効として減額前の賃金との差額を請求した事案である。

 Y銀行の主張は、

① 賃金規定6条の「行員の給与は毎年1回審議され行員の勤勉、能力、その他の功績を考慮しその価値がある場合、銀行の判断により昇給する」の定めは、賃金改定についての決定権が銀行にあることを明らかにするとともに、従業員の労働価値が減少した場合には、マイナス昇給として賃金を減額することができることを定めたものである。

② 本件賃金減額は未曾有の経営危機に対応するため雇用を確保し整理解雇を回避する手段として実施されたものである。

③ 使用者は企業再建の必要性がある場合、解雇権の濫用にわたらない限りでの整理解雇をなすことが認められているから、これを回避するための労働契約内容の一部変更である賃金調整は、就業規則の明示の有無に拘わらず行いうる。

④ 賃金調整にあたり、組合に意見を求めたが、解雇も認めないし合理化の必要性も認めないとの組合の対応は権利の濫用であって、銀行に労働契約内容の一部変更の決定権を委ねたものであるから、本訴請求は権利の濫用である

というものであった。

判決のポイント

① 従業員の賃金基準は、

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成6年11月28日第2034号10面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。