労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.04.24 【判決日:2024.05.17】
ジャパンプロテクション事件(東京地判令6・5・17) 警備員が仮眠時間中も対応必要と割増賃金請求 固定残業代は無効 最賃下回る基本給 NEW
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  • 賃金
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  • 労働時間
  • 仮眠時間

 ビルの夜間警備員が、仮眠時間中の割増賃金を求めた。東京地裁は、1人で業務を行った時期を労働時間とした一方、2人体制の時期は仮眠中に1人で対応可能で、かつ、警備の発報がほとんどなかったことも踏まえ、労働からの解放が保障されていたと判断。基本給等の時間単価は最低賃金を下回るなど、調整手当には「通常の賃金」が含まれ固定残業代とは認められない。……[続きを読む]

2025.04.17 【判決日:2023.10.24】
函館バス事件(函館地判令5・10・24) 配転命令拒否して欠勤続けた組合員を懲戒解雇 協約の“事前協議”せず無効
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  • 労働組合

 配転に応じず無断欠勤したとして懲戒解雇された組合員が、労働協約で定める事前協議なしの配転命令は違法無効として、地位確認等を求めた。函館地裁は、事前協議の要件を欠く配転を無効とした。協約書には双方の署名押印がなかったが、同義の規定がある昭和30年の協約書には双方の押印が存在し有効に成立しており、その後、規定が改廃された事実はないとしている……[続きを読む]

2025.04.10 【判決日:2024.07.04】
社会福祉法人A事件(東京高判令6・7・4) グループホームで泊まり勤務、割増賃金単価は 夜勤手当のみの合意認めず
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  • 賃金
  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 仮眠時間

 グループホームで泊まり勤務する生活支援員が、夜勤手当のみを割増賃金計算の基礎とした一審を不服として控訴した事案。東京高裁は、夜勤について日中と異なる時給が許されないわけでないが、その合意は趣旨や内容が明確な形でされるべきと判示。夜勤の労働時間性を争ってきたことを指摘して、合意がなかったと判断した。夜勤は不活動時間も含めて労働時間とした。……[続きを読む]

2025.04.03 【判決日:2024.09.13】
京王プラザホテル札幌事件(札幌高判令6・9・13) 子の海外挙式で年休、コロナ拡大し拒否される 感染リスクあり時季変更可
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  • 年休

 子の結婚式で海外渡航するため年休を取ることを伝えていた部長が、新型コロナウイルスの感染拡大等を理由に認められず、慰謝料等を求めた事案の控訴審。請求を棄却した一審に対し、二審は休暇前日の時季変更権行使は遅きに失するとして33万円の賠償を命じた。感染リスクが高まることは会社の事業の正常な運営を妨げる事情といえ、時季変更権の要件を満たすとした……[続きを読む]

2025.03.27 【判決日:2024.04.24】
みずほ銀行事件(東京地判令6・4・24)自宅待機解除し出社求めたが拒否され懲戒解雇 約4年半の待機命令違法に
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 業務命令違反

 退職勧奨とともに自宅待機を命じられた行員が、その後の出社命令に応じず懲戒解雇された事案。行員は、退職強要で欠勤には正当な理由があると主張した。東京地裁は、約4年半の待機は退職勧奨が続いていたというべきで不法行為と判断。一方で、業務命令を拒否しても良いことにはならず、段階的処分を踏んだが欠勤を繰り返すなど、改善可能性はなく解雇有効とした。……[続きを読む]

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