労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.06.12 【判決日:2024.11.06】
国・中労委(ワットラインサービス)事件(東京高判令6・11・6) 個人事業主からの団交拒否不当とした一審は? 副業可能でも「組織組入れ」 NEW
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  • 労働組合

 個人事業主が加盟する労働組合との団交拒否を不当労働行為とされた会社が、労委命令の取消しを求めた事案の控訴審。東京高裁は、事業組織への組入れに関して、個人作業者は副業・兼業できたが、多くは会社の報酬等で生計を立てていたと推認。請負契約を結んだ別法人の個人作業者も働いていたが、委託法人が組織に組み入れられているかどうかは影響しないとした。……[続きを読む]

2025.06.05 【判決日:2024.09.26】
フィリップス・ジャパン事件(東京地判令6・9・26) 解雇され賃金請求、再就職したから退職合意? 「就労の意思」喪失を認めず
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  • その他
  • 解雇

 能力不足を理由に解雇され就労できなくなったとして、賃金等を請求した事案。賃金など好条件で再就職していたことから、会社は就労の意思は喪失し退職に合意したと主張した。東京地裁は、解雇から産休までの月給の請求権を認めた。保育園の入所資格を得るため就活をする必要に迫られたもので、就労意思の喪失を否定した。なお、賞与請求権は発生していないとした。……[続きを読む]

2025.05.29 【判決日:2024.10.31】
日本硝子産業事件(静岡地判令6・10・31) 最低賃金の「試し勤務」せず休職満了で退職扱い 復職時に会社への協力怠る
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 休職から復職する際、最低賃金の試し勤務を拒否した執行役員が、復職を認められず違法等と訴えた。静岡地裁は、会社が治ゆを認定できるよう労働者は協力義務を負うとした。出勤を命じる必要性等を認めたうえ、賃金の協議に会社は応じる意向だったとして、会社の提案を理由とした出勤拒否は正当化できないとした。なお、管理監督者と認めて割増賃金請求も退けた。……[続きを読む]

2025.05.22 【判決日:2024.06.27】
モルガン・スタンレー・グループ事件(東京地判令6・6・27) ハラスメント調査結果を社外役員らに伝え懲戒 秘密保持の業務命令に違反
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 業務命令違反

 ハラスメントの調査結果に納得せず、親会社の役員らにメールを送った従業員を譴責処分後に普通解雇した。会社は事前に秘密保持契約を結び、業務命令で担当者以外へ調査内容の通知を禁じた。東京地裁は、苦情処理に支障が及ぶおそれがあることから業務命令を有効とした。被害事実は真実性を欠くなど譴責を有効としたうえ、経営陣の業務を妨げるとして解雇相当とした……[続きを読む]

2025.05.15 【判決日:2024.03.13】
中日新聞社(錬成費不支給)事件(東京高判令6・3・13) 60年以上も続いた錬成費の支給取止めは有効か 労使慣行成立せず請求棄却
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  • 賃金
  • 賃金請求権

 60年以上支払われていた錬成費を不支給とされた労働者が、労使慣行に反するとして支払いを求めた事案の控訴審。東京高裁は、支給は労使双方の規範意識で支えられていたとはいえないとして請求を退けた。過去、金額のほか支給方法や対象者を変更する際、労使交渉はなされず会社が決定していた経緯や、労使間で任意的恩恵的な給付と位置付けられていたことも考慮し……[続きを読む]

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