国・中労委(函館厚生院)事件(東京地判平20・3・26) 大衆団交拒否を不当労働行為とした労委判断は 労使慣行から応諾義務あり ★

2009.05.11 【判決日:2008.03.26】
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 組合員の多数が参加する団交を拒否したこと等について、中労委の救済命令に対し会社・組合双方が取消しを求めた。東京地裁は、団交は代表者を通じて行うもので、使用者が応じる義務はないが、30年以上も継続し労使慣行が成立していること等から双方の請求を棄却した。なお、就業規則改定については事務折衝が事実上の団交に該当するとの中労委判断を支持した。

30年以上も継続中 原則代表同士だが

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議 東京大学法科大学院客員教授)

事案の概要

 本件は、①参加人(甲事件=労働組合・乙事件原告)が、平成15年12月16日、団体交渉手続きの変更、労働協約の解約、就業規則の変更について団体交渉を申し入れたにもかかわらず、原告(甲事件=病院・乙事件参加人)がこれを拒否したこと、②原告が、団体交渉に応じないまま、労働協約を解約し、就業規則を変更したこと、③原告が、平成16年1月30日の労使協議会において、参加人に対し、労使協議会の設置目的を逸脱した対応をしたこと、④原告が、参加人に対し、春季闘争時の組合旗掲揚および腕章の着用等を許可しなかったこと、⑤参加人が、同年3月16日、平成16年度春闘要求について団体交渉を申し入れたにもかかわらず、原告がこれを拒否したこと、⑥原告が、同年6月8日、参加人に対し、定期昇給等を求める署名活動に抗議し、その中止を求めたことがそれぞれ不当労働行為に当たるとして、救済を申し立て、再審査申立について中労委が発した救済命令(中労委は①の一部および⑤、⑥について救済し、その余は棄却した)について労使双方から行政訴訟を提起した事案である。

判決のポイント

 1 団体交渉とは、労働組合と使用者又は使用者団体が自ら選出した代表者(交渉担当者)を通じて労働協約の締結を目的として行う統一的交渉のことであるから、使用者は労働組合から交渉担当者以外に多数の組合員が参加する方式の団体交渉を申し入れられた場合には、原則として、交渉体制が労働組合に整っていないことを理由として、交渉体制が整うまでの間団体交渉を拒否することができるというべきである。…

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平成21年5月11日第2728号14面 掲載

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