日立製作所(退職勧奨)事件(東京地判令3・12・21)社外転身促す研修受講命じられ損害賠償求める 再度の退職勧奨違法性なし

2022.08.12 【判決日:2021.12.21】
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抗議を受けて中止 降格は関連性否定

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 労働者甲は、平成7年4月に会社と期間の定めのない労働契約を締結し、20年4月には主任技師(課長相当職)に昇格した。その後、甲は、26年5月から休職し、29年1月に復職した。甲は、復職後および平成29年度の初めごろにそれぞれ個人目標の売上げを設定したが、いずれの期も全く売上げを上げることができず、賞与評価も最低ランクだった。そのような中、会社は甲に対し、平成29年11~12月にかけて実施された「キャリア・チャレンジ研修」の受講を指示した。本件研修では、「社外転身」に活路を見出す方向で、これからのキャリア形成を考えて欲しいとの会社の意向が示されたが、同研修において、転職を考えていない甲は、会社グループへの残留を前提としたキャリアプランを作成、発表した。また、研修後の29年12月26日、甲は上長との面談において、上長から「『社外転身サポートプログラム』について」と題した書面を手渡しされ、引き続き「キャリア・チャレンジ研修=フォローアップ研修」への参加を命じられた。30年1月、甲に対する同研修が実施されたが、甲は2回目の研修時に、違法な退職勧奨で、違法な研修であると抗議したため、その後同研修は中止された。

 30年4月、上長は甲に対し、平成30年度上期(4~9月)に売上げ目標を達成することができなかった場合には主任技師(主任相当職)から技師への降格を予定している旨を告げた。甲は、同期間にも全く売上げを上げることができなかったため、同年10月1日付で、会社は甲を技師に降格させ、給与は月額51万円から40万3000円となった。ただし、降格で管理職を外れたことにより、本給とは別に裁量労働勤務手当が支給されるようになった。

 本件は、甲が会社に対し、…

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令和4年8月15日第3365号14面 掲載

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