ダブルワークで被災、賃金合算して保険給付求める 「発生した事業」のみで計算 国・淀川労基署長事件(大阪地判平26・9・24)

2015.09.28 【判決日:2014.09.24】

 プールの設備管理を請け負う会社の従業員が、就労中に死亡した。別会社に雇用され同一施設の清掃業務にも従事しており、遺族は、労災給付は両社の賃金を合算すべきと、労基署の処分取消しを求めた。大阪地裁は法に共同補償責任の規定がないとしたうえで、複数就労でも労災発生事業の賃金を基礎とするとした。清掃会社の業務は労働時間や内容から業務起因性はないとした。

同一の施設内でも 共同補償規定なし

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 原告Xの夫であるKは「A興業」および「B社」で勤務していたが、両社共通の勤務現場である複合施設内で死亡しているのを発見されたため、Xが被告国の処分行政庁である淀川労働基準監督署長(以下「処分行政庁」)に対し、労災保険法に基づく遺族補償給付および葬祭料の給付請求をした。

 処分行政庁は、業務起因性は認めたものの、給付基礎日額はA興業の平均賃金に基づき算定し、かつ、時間外労働についてもXが主張する労働時間の一部のみを前提とした処分をしたため、本件はその取消しを求めた事案である。

 本判決は、Xの請求を棄却した。

 本件の争点は、①Kの労働時間数と②給付基礎日額についてA興業における平均賃金のみを基礎として算定すべきか、A興業とB社における平均賃金を合算して算定すべきかであり、本稿では、②について検討する。

判決のポイント

 労災保険制度が設けられたのは、業務災害を被った労働者及びその遺族に対しては、労基法8章において、使用者に必要な災害補償を行うべき責任が課されているが、…

この記事の全文は、読者専用サイトにてご覧いただけます。
読者専用サイトへログイン 読者専用サイトへはこちらからログインしてください。
※読者専用サイトは、定期刊行物(労働新聞または安全スタッフ)の購読者専用のサイトです。詳細・利用方法は、読者専用サイトのご案内をご覧ください。
ジャンル:
掲載 : 労働新聞 平成27年9月28日第3034号14面

あわせて読みたい

ページトップ