エス・ウン卜・エー社事件(平4・2・18最判) 年休の算定と不利益扱い ★

1992.05.11 【判決日:1992.02.18】
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欠勤扱いは私法上不適法

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 Y会社は、昭和59年1月の就業規則改正により、日曜日を休日とし、祝日、交替出勤日以外の土曜日、年末年始を「一般休暇日」とし、一般休暇日は、生理休暇、特別休暇などとともに、年休付与の基準となる全労働日に含める旨定めた。Xは、昭和60年及び61年には新規定では8割出勤の要件を満たさなかった。そこで、Y会社は昭和61年、62年のXの年休の成立を否定し、Xが年休だとして出勤しなかった日を欠勤扱いして賃金カットを行い、一時金の勤怠効果においても欠勤として減額の取り扱いをした。Xは、カットされた賃金、一時金と賦課金の支払いを求めて提訴した。

 本件の一、二審(東京地裁、東京高裁)の主な争点は、本件の「一般休暇日」が労働義務のない休日とみるべきか(Xの主張)、労働義務はあるが勤務しなくても債務不履行の責めを問われない日とみるべきか(Y会社の主張)にあった。

 この点について、第一審は、労基法39条1項の8割要件は、特に出勤率の悪い、勤務成績不良者を除外する趣旨であるから、Y会社の前記主張は、勤務成績の不良と評価しえない「一般休暇日」を欠勤と同様に評価する結果となり、就業規則等の明示の根拠のない本件では相当でないと、Xの主張を支持した。

 第二審は、アプローチをかえ、X、Y会社の解釈のいずれが相当かは、就業規則全体の規定を考慮し職場の実態、取り扱い等を斟酌して、合理的、総合的に解釈すべきとして、一定の事実認定を加え、一般休暇日は結局労働義務を負わない日と解すると、再びXに軍配をあげた。

 そこで、Y会社は最高裁に上告し、以下の主張を行った。第1点は、法39条1項の「全労働日」は、立法当時の国会等の審議経過に照らせば、1年の総日数から労基法の法定休日を引いたものと解すべきである。第2点は、本件の一般休暇日は労働義務の存在が前提であり、原判決はその点で就業規則の解釈を誤るものである。第3点は、原判決が、法定外年休及び一時金の勤怠考課についても法39条を適用したことは解釈適用を誤るものである。

判決のポイント

 本判決は、労基法39条1項の「全労働日」の定義とその適用、就業規則の同一条項で定められた法定年休と法定外年休の関係、…

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平成4年5月11日第1912号10面 掲載

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