千鳥ほか事件(広島高判令3・3・26) 資格外活動で逮捕された技能実習生が賠償請求 監理団体とともに不法行為
資格外活動で逮捕された技能実習生が、実習計画と異なる業務を命じた会社らに対し、逸失利益等を求めた事案の控訴審。広島高裁は、実習先は監理団体に相談し助言を受けていたが、資格外活動を行わせる業務命令を発してはならないとした。監理団体も実習状況を慎重に聴取し実態を認識すれば是正し得たとして、それぞれ不法行為者として損害の賠償を命じた。
実習先の命令違法 助言や指導得ても
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被控訴人(一審被告)会社は旅館業・飲食業・食品加工販売業等を行う会社、被控訴人(一審被告)組合は外国人技能実習生共同受入れ事業等を行う監理団体、控訴人(一審原告)らは平成26年~28年にかけて技能実習生として本邦に上陸し実習実施機関である被控訴人会社と雇用契約を締結し勤務したものである。
控訴人らの技能実習計画は、内容をパン製造作業およびその関連作業等とするものであり、雇用契約もパン製造作業に従事するとしていた。被控訴人会社は、控訴人らに対し、パン製造工場の稼働していない日時を中心に、自身の経営する旅館や飲食店において、清掃・シーツ交換・料理の作成盛付・食器洗浄等の作業に従事するよう命じた。
平成28年6月19日、控訴人らは在留資格に応じた活動に属しない報酬を受ける活動を行った(資格外活動。入管法73条、19条1項違反)として逮捕拘留された。控訴人らは、上記逮捕拘留され技能実習を継続できなくなったとして、被控訴人らに対し不法行為等に基づく損害賠償金の支払いを求め訴訟提起した。
原審(広島地判令2・9・23)は控訴人らの請求を一部認容したにとどまったため控訴人らが控訴した。
判決のポイント
①技能実習制度の趣旨や同制度の下における技能実習生の位置付けに鑑みれば、控訴人らは、…
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