『賃金控除』の労働実務相談Q&A

2024.03.18 【健康保険法】

低額の休職給に該当? 私傷病欠勤で賃金控除

キーワード:
  • 標準報酬月額
  • 賃金控除
  • 随時改定
Q

 私傷病で断続的に欠勤している従業員がいます。標準報酬月額は変わらないと認識していますが、「低額の休職給」が支払われる場合には、固定的賃金の変動に当たるというものをみました。病気欠勤で報酬が一部減るときも随時改定の対象になるのでしょうか。【長野・R社】

A

標準報酬月額原則変わらず

 月給など固定的賃金の増減に合わせて、社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額も変わることがあります(健保法43条)。たとえば、一時帰休に伴い、就労していたら受けられたはずの報酬よりも低額の休業手当等が支払われる場合、固定的賃金が変動したものとして随時改定の対象になります(令5・6・27事務連絡)。手当が支払われた日は、随時改定の要件である17日以上に含まれます。

 一方、…

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2023.06.27 【労働基準法】

労使協定だけで控除可? 10人未満で就業規則なく

キーワード:
  • 労使協定
  • 賃金控除
  • 賃金関係
Q

 互助会を設けようと話合いを進めています。当社は10人未満で就業規則は作成していませんが、労使協定のみで互助会費の賃金控除は可能なのでしょうか。【京都・E社】

A

労働者から同意得たなら 免罰効果が発生するのみ

 労基法24条で賃金支払いの5原則が定められており、その1つに全額払いの原則があります。これは、賃金の一部を控除して支払うことを禁止するもので、「控除」とは、履行期の到来している賃金債権についてその一部を差し引いて支払わないことをいう(それが事実行為によると法律行為によるとを問わない)とされています(労基法コンメンタール)。

 この例外として賃金控除が認められているのは、法令に別段の定めがある場合と、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)と労使協定を締結した場合です。前者は、…

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2021.06.10 【労働基準法】

数カ月後の休日と振替? 賃金控除が先も可能か

キーワード:
  • 変形労働時間制
  • 賃金控除
  • 賃金関係
Q

 1年単位の変形労働時間制で休日の振替を考えています。夏ごろの所定労働日と、年末の休日を振り替える案ですが、そもそもこうした振替が可能なのかどうかと、休日を先に取るときに賃金控除の取扱いはどのように考えればいいのでしょうか。【静岡・K社】

A

連続労働日数6日に注意 100%部分は支給しても

 振替というためには、「休日を振り返る前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替える」必要があります。「休日労働を行った後にその代償として特定の労働日の労働義務を免除する」代休とは区別されます。「振替により休日となる日」が「労働日となる日」より前に来ても、一定の要件を満たす限りは、適法な振替と認められます。…

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2020.03.10 【労働基準法】

復職後に保険料控除は? 休職期間立て替えた分

キーワード:
  • 社会保険
  • 賃金控除
  • 賃金関係
Q

 休職中の労働者の社会保険料を立て替えています。その返済方法に関して、就業規則等へ規定していませんでした。復職後の賃金から控除する方法は、認められるのでしょうか。【静岡・N社】

A

24条の協定あれば可能 退職も視野に都度徴収を

 休職期間中も原則として健康保険や厚生年金の被保険者資格は継続し、報酬の支払いの有無に関係なく、社会保険料がかかってきます。報酬の支払いがなければ、報酬から社会保険料を控除できず、従業員が負担する社会保険料を別途徴収する必要が生じます。

 こうした場合の取扱いに関して、事前に労使で取り決めしておく必要があったということになりますが、その方法は主に以下の3つが考えられます。…

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2018.08.20 【労働組合法】

チェックオフ継続可能? 加入者が過半数割り込む

キーワード:
  • 労使協定
  • 賃金控除
Q

 当社には正社員を構成員とする労組がありますが、正社員比率の低下により加入者数が過半数を割り込んでしまいました。長年の慣習により、組合費は会社が賃金から天引きする形となっています。このまま継続しても問題ないのでしょうか。【大阪・N社】

A

労使協定の要件を欠く 非組合員含めて再締結を

 企業内労組のある会社では、組合費を賃金から天引き処理(チェックオフ)しているのが一般的です。

 会社と労組は別組織ですから、これは徴収事務の代行にあたります。法律的には、どのように解釈されているのでしょうか。

 労働組合法上は、直接的にチェックオフに触れた条文はありません。関連するものとしては、労組法7条が挙げられます。同条では「不当労働行為」の類型を列挙していますが、その中には使用者が「経理上の援助を与えること」が含まれています(7条3号)。

 労組は、使用者にチェックオフをしてもらうことで…

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