『労務一般関係』の労働実務相談Q&A

2024.07.19 【労働基準法】

選挙立候補の準備すべて休暇に? 公民権行使を保障 当選したら退職扱い

キーワード:
  • 労務一般関係
Q

 選挙に立候補するという理由で、準備期間も含めまとまった期間の年休を請求されました。従業員は「公民権の行使」だから会社は拒否できないはずだと主張するのですが、準備期間についても休暇を与える義務があるのでしょうか。もし当選した後についてですが、本業に支障が及ぶことを理由として退職扱いすることは問題ないでしょうか。【広島・F社】

A

年休以外は無給でも可

 労基法7条は「公民としての権利を行使するために必要な時間を請求した場合、拒んではならない」と定めています。被選挙権も公民権に含みますが、「必要な時間」について、公民権を行使して請求するか、それとも年休を請求するか否かは別の問題です。

 被選挙権の行使の「範囲」について、必要な法定期間中の選挙活動は被選挙権の行使に必然的に伴うものとして含まれると解されています(労基法コンメンタール)。なお、選挙権の行使に関して、遅刻、早退しても賃金を差し引かないよう求めるものがあります(昭42・1・20基発59号)。

 従業員が年休をまとめて請求して、会社が拒否しようとするときには、…

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2024.06.11 【労働基準法】

本社一括届出の仕組みは 複数事業場あり使いたい

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  • 36協定
  • 労使協定
  • 労務一般関係
Q

 複数店舗を運営していますが、労基署の管轄がそれぞれ別で、労使協定の届出などが大変です。本社一括届出の仕組みがあり拡大されたようですが、どのような内容ですか。【京都・E社】

A

労働者代表異なっても可 電子申請に限定して緩和

 労働関係では、時間外・休日(36)協定をはじめとして、労使協定の締結が求められるケースがあります。ものによっては、労基署への届出も必要です。

 労使協定は事業場単位で締結し、届出が必要な場合は、それぞれの所在地を管轄する労基署に届け出ます。複数の事業場がある場合でも同様です。ただし、一定の条件を満たせば、いわゆる本社機能を有する事業場(本社)が他の事業場のものもまとめて提出する本社一括届出も認められています(平15・2・15基発0215002号、平31・4・1基発0401第43号)。

 例えば36協定の場合、…

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2024.04.10 【労働基準法】

就業規則へ何を記載する 安衛関係で規定が必要?

キーワード:
  • 労務一般関係
  • 就業規則
Q

 就業規則の見直しを進めています。記載内容の中に安全衛生に関する事項があったと思いますが、どのようなものを定めるのか改めて教えてください。また、全労働者に適用する事項も規定が必要としていますが、具体的にはどのようなものでしょうか。【山口・O社】

A

法令に基づく細目等規定 委員会の審議経るものも

 常時10人以上を使用する使用者には、就業規則の作成と、作成・変更時の届出が義務付けられています(労基法89条)。作成・変更時には、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴き、届出の際に意見書を添付します(同法90条)。

 就業規則の記載事項には、絶対的必要記載事項と、定めをする場合に記載が必要な相対的必要記載事項があります。後者のなかに、安全および衛生に関する事項があります(同法89条6号)。安衛法や政・省令などに規定されている事項のうちその事業場で必要な細目のほか、法令に規定されていない事項でも、安全衛生上必要なもの等も含まれます(労基法コンメンタール)。厚労省のモデル就業規則では、…

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2024.03.08 【労働基準法】

試用期間後に解雇日が到来? 本採用拒否する判断 予告期間30日必要で

キーワード:
  • 労務一般関係
  • 試用期間
Q

 当社の就業規則では、採用の日から3カ月間を試用期間としています。不適格と認めたときは本採用しません。最近中途採用した人の欠勤が多い状況で、理由もはっきりしません。本採用を見合わせるときに、3カ月間すべてみて判断すると解雇日は試用期間よりも後ということになりますが、問題はあるのでしょうか。【群馬・M社】

A

手当併用で短縮も可能

 多くの企業では、とくに正社員の採用について、入社後一定期間を試用期間としています。期間中、会社は都合により解雇をなし得るなどと会社の特別の解雇(解約)権を明記するのが普通(菅野和夫「労働法」)と解されています。専門的あるいは即戦力としての能力を期待して採用された中途採用者が、試用期間中の解雇無効を争う事案は直近でもいくつかあります(東京地判令元・12・20、東京地判令3・10・20など、なお、有期雇用に関して千葉地判令4・3・3)。

 本採用決定前の試用期間中でも、…

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2024.02.09 【労働基準法】

懲戒規定新設して処分できるか 非違行為発生した後 解雇やむなしの事案

キーワード:
  • 労務一般関係
  • 解雇
Q

 非違行為があった従業員の懲戒解雇を検討していたところ、懲戒規定の内容があまり具体的ではありませんでした。仮にこれから規定を整備した場合に、新しい規定に基づく懲戒処分は認められるのでしょうか。あるいは懲戒解雇ではなく、普通解雇という選択肢はどうでしょうか。【広島・O社】

A

遡及適用は否定される

 懲戒処分が有効となるのは、「使用者が労働者を懲戒することができる場合」でなければならず、このため就業規則等で懲戒の理由となる事由とこれに対する懲戒の種類・程度が明記、周知されていなければなりません(最二小判平15・10・10)。

 懲戒の根拠規定は、それが設けられる以前の事犯に対して…

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