『賃金関係』の労働実務相談Q&A

2024.04.09 【労働基準法】

通勤手当含めるか? 平均賃金算定の場合に

キーワード:
  • 賃金関係
  • 通勤手当
Q

 パート労働者が退職することになり、残りの年次有給休暇を取得します。週3~4日勤務で定期券相当額の通勤手当を毎月支給していました。年休取得時の賃金は平均賃金を選択していますが、通勤手当も含め計算するのでしょうか。【群馬・U社】

A

調整を認める解釈例規あり

 平均賃金は、原則、算定事由発生日以前3カ月間の賃金の総額を、その総日数(暦日数)で割り求めます(労基法12条1項)。事由発生の当日は含まず、前日から遡って計算しますが、賃金締切日があるときは、発生日の直前の締切日起算です(2項)。

 賃金の総額に通勤手当は含めます(昭22・12・26基発573号)。ご質問のように通勤手当を月単位で支払うと、…

回答の続きはこちら
2024.03.29 【労働基準法】

振込でなく直接払を選択!? 備品返さないまま退職 手渡しにして出社促す

キーワード:
  • 賃金関係
  • 退職
Q

 退職時に備品を返さないまま辞めてしまう従業員がいて困っています。賃金を口座払いでなく、手渡しにすれば出社してくれるのではないかと考えました。賃金規程を確認したところ、賃金を「振込むことができる」という規定になっていました。会社が、現金の直接払を選択して出社を求める方法は可能でしょうか。【愛知・U社】

A

現金払があることを規定

 賃金は通貨払が原則です(労基法24条)。ただし、労働者が同意した場合には、例外として、①銀行口座と②証券総合口座への賃金支払いが認められています。第3の例外に、いわゆるデジタル払があります(労基則7条の2)。

 労働者の同意取得のほか、会社は過半数労組(ないときは過半数代表者)と賃金の口座振込に関する協定を締結することとしています(令4・11・28基発1128第4号)。なお、協定の届出は必要ありません。協定例をみると、…

回答の続きはこちら
2024.03.12 【労働基準法】

フレックスだがどう通算 副業先は通常どおりなら

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 求人を出したところ、すでに別の会社で働いているという人から応募があり、能力的にはぴったりです。当社は変形労働時間制などではなく、通常どおりの労働時間制ですが、向こうはフレックスタイム制といいます。労働時間の通算はどのように考えますか。【神奈川・S社】

A

法定の総枠と仮定をする カウントする順番異なる

 以下、時系列的に先に労働者と労働契約を締結した使用者をA、後をBとします。最初に、AもBも通常の労働時間制の場合を説明します。通算の考え方は、最初にAの所定労働時間、Bの所定労働時間の順で通算し、次にA・Bの所定外労働時間を発生した順番に足していきます。法定労働時間を超過した部分のうち、自らの事業場で発生した部分が割増賃金の対象となります(厚労省「副業・兼業ガイドライン」)。

 続いて、Aでフレックスタイム制の適用を受けており、Bが通常の労働時間制のパターンです。Aにおいて所定労働時間のような「固定的な労働時間」が定まっておらず、…

回答の続きはこちら
2024.02.27 【労働基準法】

“代休”取得で割増賃金は 休日労働として支払うか

キーワード:
  • 代休
  • 割増賃金
  • 賃金関係
Q

 先日、休日に労働させることが必要になり、従業員と相談して別の日を休日としました。ところが労働者から、“代休”を取ったのに休日労働としての割増賃金が支払われていないと言われました。改めて、代休と割増賃金の考え方を教えてください。【福岡・O社】

A

休日の振替なら労働日に 時間外へ注意が必要

 広い意味で“代休”とは、当初休日の日に出勤し別の労働日に休日を取得することを指しますが、労基法上は、休日の振替と代休という2つの異なる概念があります。

 まず、休日の振替についてです。これは、あらかじめ休日と定められている日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とするものです(昭23・4・19基収1397号)。休日と労働日の交換で、当初休日だった日は労働日となります。このため、同日に労働させた場合、もともと労基法35条の法定休日だったとしても、休日労働に対する割増賃金は発生しません。ただし、通常の労働日の労働として、…

回答の続きはこちら
2024.01.19 【労働基準法】

休業手当から収入控除? 仕入先や納品先が被害 副業・兼業に従事したら

キーワード:
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 地震で仕入れ先や納品先が損害を受け、業務量の落ち込みや休業の実施が見込まれます。従業員のなかには、会社の休業日に副業・兼業をする者も出てきそうです。他の会社で収入を得ているときでも、会社は不問に付すほかないのでしょうか。【京都・H社】

A

平均賃金6割は支払いを

 厚生労働省の副業・兼業ガイドラインは、自社での業務に支障をもたらす事情がなければ、原則、副業等を認めることが適当としています。

 会社から休業手当等が支払われ、他社で賃金を得ることができれば二重に所得を得る形になります。民法536条2項では、「自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、債権者に償還しなければならない」と規定しています。

 債権者(使用者)が労務を受領しなかった時間を使って、債務者(労働者)が就労し収入を得れば、利益を償還すべきか否かが問題となります。労基法コンメンタールでは、不就業期間中の他社就労について、判例を2つ挙げています(最二小判昭37・7・20、最一小判昭62・4・2)。…

回答の続きはこちら
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。