『副業・兼業』の労働実務相談Q&A

2024.03.28 【雇用保険法】

月11日働くのが条件に? 雇用保険の被保険者資格

キーワード:
  • アルバイト
  • パート
  • 副業・兼業
  • 被保険者資格
Q

 パート・アルバイトを募集中ですが、応募者の中には比較的年齢が高く、副業兼業として働きたいという人も含まれていました。短時間や週の所定労働日数が少ない条件で採用するときですが、雇用保険の被保険者になるためには、月の労働日数が11日以上あることが必要なのでしょうか。失業したときの給付は、月11日以上働いている必要があると思いますが…。【長崎・S社】

A

失業給付の受給要件と別 週20時間で31日雇用なら

 一般の被保険者が、失業時に基本手当の支給を受けるためには受給資格が必要です。原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上必要です。被保険者期間を計算する際に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上あるものを1カ月として計算します(雇保法14条1項)。

 一方で、そもそも被保険者となるための基準は別ものです。週の所定労働時間が20時間未満(法6条1号)だったり、31日以上の…

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2024.03.12 【労働基準法】

フレックスだがどう通算 副業先は通常どおりなら

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 求人を出したところ、すでに別の会社で働いているという人から応募があり、能力的にはぴったりです。当社は変形労働時間制などではなく、通常どおりの労働時間制ですが、向こうはフレックスタイム制といいます。労働時間の通算はどのように考えますか。【神奈川・S社】

A

法定の総枠と仮定をする カウントする順番異なる

 以下、時系列的に先に労働者と労働契約を締結した使用者をA、後をBとします。最初に、AもBも通常の労働時間制の場合を説明します。通算の考え方は、最初にAの所定労働時間、Bの所定労働時間の順で通算し、次にA・Bの所定外労働時間を発生した順番に足していきます。法定労働時間を超過した部分のうち、自らの事業場で発生した部分が割増賃金の対象となります(厚労省「副業・兼業ガイドライン」)。

 続いて、Aでフレックスタイム制の適用を受けており、Bが通常の労働時間制のパターンです。Aにおいて所定労働時間のような「固定的な労働時間」が定まっておらず、…

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2024.01.19 【労働基準法】

休業手当から収入控除? 仕入先や納品先が被害 副業・兼業に従事したら

キーワード:
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 地震で仕入れ先や納品先が損害を受け、業務量の落ち込みや休業の実施が見込まれます。従業員のなかには、会社の休業日に副業・兼業をする者も出てきそうです。他の会社で収入を得ているときでも、会社は不問に付すほかないのでしょうか。【京都・H社】

A

平均賃金6割は支払いを

 厚生労働省の副業・兼業ガイドラインは、自社での業務に支障をもたらす事情がなければ、原則、副業等を認めることが適当としています。

 会社から休業手当等が支払われ、他社で賃金を得ることができれば二重に所得を得る形になります。民法536条2項では、「自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、債権者に償還しなければならない」と規定しています。

 債権者(使用者)が労務を受領しなかった時間を使って、債務者(労働者)が就労し収入を得れば、利益を償還すべきか否かが問題となります。労基法コンメンタールでは、不就業期間中の他社就労について、判例を2つ挙げています(最二小判昭37・7・20、最一小判昭62・4・2)。…

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2024.01.12 【厚生年金保険法】

養育特例は報酬を合算? ダブルワークで育児休業

キーワード:
  • 副業・兼業
  • 養育特例
Q

 ダブルワーカーを受け入れる際の課題を話し合っていて、社会保険の被保険者資格は本業のみで加入し、副業兼業として働く当社は関係がなさそうという形で意見がまとまりました。労働者が育児休業を取得して復帰したときですが、厚生年金の養育特例はどのように判断するのでしょうか。【福岡・M社】

A

被保険者の事業所のみ 3歳未満養育するとき

 養育特例とは、子が3歳に達するまでの養育期間中に標準報酬月額が低下した場合に、将来の年金額に影響しないようその子を養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みです(厚年法26条)。

 特例の対象となるのは、「3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者」です。養育期間中の各月の標準報酬月額が、…

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2023.12.26 【労働基準法】

通算して判断するのか? 兼業で36協定の延長時間

キーワード:
  • 36協定
  • 副業・兼業
  • 労働時間関係
Q

 パート労働者から、仕事の掛持ちをしたいとの話がありました。兼業先は週2日程度の8時間勤務のようです。時間外・休日労働(36)協定の延長時間を法定外労働時間が超えているかどうかは、通算して考えるのでしょうか。超過はないと思うものの、当社はパートの延長時間を短めに設定しており、少々心配です。【京都・E社】

A

各事業場でチェックする 単月100時間は労働者ごと

 労基法38条は、事業場を異にする際も労働時間を通算するとしています。副業・兼業も雇用による場合は対象です。

 労働時間の通算は、まず労働契約の時間的な先後の順に所定労働時間を通算し、次に所定外労働時間の発生順にカウントするとしています(厚労省「副業・兼業ガイドライン」)。他事業場の労働時間の把握は、労働者からの申告等で行います。この結果、自らの事業場における労働時間制度に照らして法定外労働時間となる部分について、…

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