『安全配慮義務』の労働実務相談Q&A

2023.04.14 【衛生管理】

面接指導の実施半強制!? 月60時間ボーダーに

キーワード:
  • 安全配慮義務
  • 産業医
  • 長時間労働
  • 面接指導
Q

 当社では、繁忙期になると、どうしても長時間労働者が出てきます。人事担当経営者が労働者時間管理には意識が高く、タイムカードと連動して健康管理時間を把握するシステムの導入や、月60時間以上の長時間労働者に対しては産業医面談が半強制的に入るようにしているのですが、月に一度の嘱託産業医の来訪時だけではこなせない数の対象者が発生してしまい困っています。どうしたものでしょうか。【北海道・I社】

A

上長が疲労度確認して 「連絡シート」活用も

 長時間労働者の医師による面談は安衛法66条の8に規定があり、時間外・休日労働が月80時間を超えた者で、本人から面接指導の申し出があった者については、医師(産業医が望ましいとされます、平18・2・24基発0224003号)による面接指導をしなければなりません。

 本人からの申し出がない面接指導は努力義務なのですが…

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2022.01.27 【労災保険法】

二次健診の内容知りたい 「過重労働」で労災心配

キーワード:
  • 健康診断
  • 安全配慮義務
Q

 定期健診で異常所見が指摘された従業員が「二次健康診断」を受診したいと申し出てきました。二次健診の内容等について教えてください。また受診の結果、労災に認定されるような所見が出た場合、過重労働その他、会社の安全配慮義務を怠ったと判断されないためにはどういった措置を講じる必要があるのでしょうか。【千葉・T社】

A

異常所見ある希望者対象 産業医意見を優先する

 二次健康診断等給付は、安衛法に基づく定期健康診断等のうち、「一次健康診断」において、「過労死」等(業務上の事由による脳血管疾患および心臓疾患の発生)に関連する血圧の測定等の項目について異常の所見が認められる場合に、労働者の請求に基づき、脳血管・心臓の状態を把握するための二次健康診断および脳・心臓疾患の発症の予防を図るための特定保健指導を1年度内に1回、無償で受診することができる制度です(労災法26条)。

 二次健康診断等給付を受けようとする労働者は、所定の様式に、一次健康診断の結果の写しなどを添付して、労災病院または局長の指定する病院等(健診給付病院等)を経由して、所轄の都道府県労働局長に提出することになります。請求は一次健康診断を受診した日から3カ月以内に行う必要があります(労災則18条の19)。

給付の要件

 一次健康診断の結果、次のすべての検査項目について、「異常の所見」があると診断されたときは二次健康診断等給付を受けることができます。…

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2021.11.22 【労働安全衛生法】

副業の健康確保は? 過重労働が心配になる

キーワード:
  • 副業・兼業
  • 安全配慮義務
  • 面接指導
Q

 副業・兼業を認めたときに心配なのが過重労働です。安衛法の適用がどうなるかや、安全配慮義務に関して何か判断は示されているのでしょうか。【埼玉・T社】

A

在籍出向等除き非通算

 安衛法上の措置としては、たとえば長時間労働者に対する面接指導(安衛法66条の8)やその結果に基づく事後措置等(健康確保措置)が挙げられます。原則として、面接指導の対象となる労働者は、週40時間を超えた時間が月80時間を超え、かつ、…

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2021.04.16 【衛生管理】

ワクチン接種命令可能か 安全配慮義務違反を懸念

キーワード:
  • 安全配慮義務
  • 新型コロナウイルス
Q

 新型コロナウイルスのワクチンの安全性に疑問があって打ちたくないという人がいます。今後営業に出るためにはワクチンを打っていることが要求される可能性があると思っています。業務命令で打たせることは可能でしょうか。また、打っていない人がいることを知っていて出社させて感染が広がった場合、責任を負うのでしょうか。【大阪・J社】

A

予防接種法で「努力義務」 まずは職場の感染対策を

 2020年12月に施行された改正予防接種法では、接種は国民の「努力義務」とされ、接種するかしないかはあくまで本人の選択に委ねられています。厚生労働省も、「ワクチンは受ける方の同意なく行われることはなく、職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう」求めています(「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」)。

 今後、変異種の拡大や、…

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2021.03.14 【衛生管理】

基礎疾患にどこまで配慮 コロナ重症化の心配あり

キーワード:
  • 健康診断
  • 安全配慮義務
  • 新型コロナウイルス
  • 産業医
Q

 糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある従業員が、業務上、新型コロナウイルスに感染して重症化した場合、就業させた使用者は責任を負うのでしょうか。また、産業医が就業可としたので就業させて重症化した場合には、使用者や判断を行った産業医が賠償責任を負うことになるのでしょうか。【東京・I社】

A

方針策定に手を尽くす 情報収集し委員会で審議

 基礎疾患のある人が新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高いことはよく知られており、例えば中国で7万人を対象に行った研究で、糖尿病患者は死亡率が3倍になるといった報告があります(Wu et al, JAMA,2020)。重症化のリスク因子は糖尿病の他、高血圧、心血管疾患、肥満(BMI 30以上)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、さらに65歳以上の高齢者とされています(厚労省「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」)。

 会社としては、ハイリスク者(重症化のリスク因子を持つ者)に対しては、感染予防のための就業上の配慮が必要であると考えられます。…

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