『損害賠償』の労働実務相談Q&A

2024.03.29 【交通事故処理】

過失割合は変わらない!? 双方「青信号」の衝突事故

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 バイクで交差点を青信号で直進していたところ、対向車線を走ってきた自動車が、突然右折をしてきて、私のバイクに衝突しました。私は、この事故で右手首を骨折しました。損害賠償を請求したところ、相手の保険会社から、双方が青信号だったので、過失割合は自動車85、バイク15ですと当然のように言われました。私に落ち度はないと思うので、納得できません。受け入れるしかないのでしょうか。【東京・K生】

A

右折方法で10割負担も 警察調書など確認も必要

 交通事故における一方当事者と他方当事者の過失割合は、多数の裁判の結果等を踏まえ、東京地裁民事交通訴訟研究会や日弁連交通事故相談センターが認定基準を発表しており、実務でも用いられています。

 今回の事故の場合、いずれの認定基準によっても、基本的な過失割合は、自動車85、バイク15とされています。バイクにも過失があるとされるのは…

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2024.02.29 【交通事故処理】

被害者側に過失はあるか 飛び出してきた子はねる

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 私は自動車を運転中に歩道から急に飛び出してきた3歳の子をはねてしまいました。その子は母親と手をつないで歩道を歩いていたのですが、母親が知人と出会って手を離して話に夢中になっている間に子が飛び出してしまったと聞きました。3歳の子は不法行為責任を負わないと聞いたことがあるのですが、このような場合、過失相殺をすることも認められないのでしょうか。【神奈川・I生】

A

監督者の不注意も考慮 事理弁識能力ない可能性

 交通事故の損害賠償においては、被害者にも落ち度がある場合は、公平の観点から一定の割合で損害賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます(民法722条2項)。この場合の被害者の過失とは、必ずしも加害者として不法行為責任を負う際の過失と同じものとは解されておらず、たとえば不法行為責任を負う場合に必要とされる「加害者に責任能力があること」までは要求されないといわれています。

 民法712条は、未成年者が「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」には責任能力がないと定めていますが、…

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2024.01.15 【交通事故処理】

役員報酬補償されないか 営業活動できず売上げ減

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  • 損害賠償
Q

 横断歩道で自動車と接触し受傷しました。そのためしばらく会社の仕事に復帰できませんでしたが、私は役員であり、役員報酬をもらっているのでその分は補償されないとのことです。確かに報酬自体の減額はありませんでしたが、営業活動ができず、会社にとっては売上げなどでマイナスが発生しています。この埋め合わせはされないのでしょうか。【兵庫・S生】

A

労務提供の対価なら対象 企業損害として請求も

 相談者は会社の役員であると同時に営業活動にも従事しているわけですから、その休業損害は発生しています。ただし、会社から役員報酬が支払われているので相談者には損害(休業損害)は発生していません。

 このような事例を法的にみますと、交通事故の損害賠償額を算定するうえで参考になる本、「損害賠償額算定基準(いわゆる赤本)」に次のように記されています。…

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2023.11.28 【交通事故処理】

損害額から自賠責控除か 人身傷害保険金を受領後

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 私の夫は、保険会社(「人傷社」)の人身傷害保険に加入していました。私は、交通事故に遭い、340万円の損害を受け、私の責任分が102万円(過失3割)、加害者の責任分が238万円となりました。私は、任意保険と自賠責保険から計99万円の支払いを受け、人傷社から人身傷害保険金として、保険約款の損害額算定基準による損害額210万円から既払額99万円を引いた111万円を受領しました。損害の全部が填補されないため、加害者に損害賠償請求したところ、人傷社が自賠責保険から支払いを受けた84万円を控除するといいます。私は控除後の金額しか支払いを受けられないのでしょうか。【岡山・N子】

A

被害者過失分除き請求可 人傷一括払で充当できず

 ご質問の事例は大変ややこしい法律関係であり、議論のある部分ですが、最高裁令和4年3月24日判決(「令和4年最判」)があります。そこで、前提となる保険の法律関係の説明をしつつ、令和4年最判の判断を紹介したいと思います。

 【人身傷害保険】人傷保険は、通常の自動車保険に、対人賠償保険、対物賠償保険等とともに組み込まれた保険で、…

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2023.09.28 【交通事故処理】

意識消失し賠償に影響? ドライバーが運転中発生

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 テレビ、新聞などで、ドライバーが自動車運転中に意識を失ったために事故が発生したというニュースを見聞きすることがありますが、このような場合、ドライバーは損害賠償責任を負うことになるのでしょうか。【京都・I社】

A

「人身損害」は責任を負う 病気予見困難の裁判あり

 民法は、意識を失った状態(精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態)での行為については損害賠償責任が発生しないとした(713条本文)うえで、意識を失ったことについて故意、過失がある場合には損害賠償責任を負わなければならないとしています(同条ただし書)。

 この民法713条ただし書の過失の有無が問題となった事案についての…

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