派遣先が5割増負担? 中小は適用猶予だが 長時間労働で残業60時間超

2012.04.23
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Q

 業務繁忙で派遣労働者の受入れを決めましたが、労基法の適用で質問があります。派遣労働者の担当者に、「受注が集中したときは、長時間労働もあり得る」旨説明したところ、「残業時間が月60時間を超えると、5割以上の割増賃金が必要になる」といわれました。当社は、40人規模の小企業ですが、「割増率5割」の規定は適用猶予とならないのでしょうか。【兵庫・U社】

A

料金に乗せるか要交渉

 中小事業主は、「当分の間」、割増率5割の規定は適用されません(労基法第138条)。「改正法施行(平成22年4月1日)後3年を経過した時点で」、適用猶予の継続・廃止を検討する規定となっています(平20附則第3条)。

 「派遣労働者は、派遣元との間に労働契約関係があるため、派遣元の労働者数に算定」されます(平21・5・29基発第0529001号)。

 派遣業はサービス業に分類され、「資本金5000万円超『かつ』労働者100人超」であれば、中小事業主の範囲から外れてしまいます。「中小事業主か否かは、事業場単位ではなく、企業単位」でみます(前掲解釈例規)。

 派遣労働者について、60時間を超える時間外も想定されるのなら、次の2点を確認する必要があります。

 第1に、派遣先での時間外労働は、派遣元での時間外・休日(36)協定の締結を前提とします(派遣法第44条第2項)。

 派遣元で、特別条項を結び、「時間外の限度基準(平10・労働省告示第154号)」で定める上限(月45時間等)を超える時間外労働が可能となっている必要があります。

 第2に、派遣契約の締結事項の1つに「(時間外を可能とする場合)、延長することができる時間数」が挙げられています(派遣法施行規則第22条)。上限を何時間と定めるか、契約締結時によく話し合っておくべきでしょう。

 2つの条件を満たし、適法に時間外労働(60時間超)に従事させた場合、5割以上の割増賃金の支払い義務を直接負うのは派遣元です(派遣元が中小事業主に該当しない場合)。

 派遣元は60時間を超えた際、派遣料金を上乗せするよう求めていますが、据置とする契約も可能です。割増賃金と派遣料金をリンクさせるか否かは、派遣先・元の交渉に委ねられます。

※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。

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平成24年4月23日第2870号16面 掲載

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