『傷病手当金』の労働実務相談Q&A

NEW2025.06.11 【健康保険法】

不正受給の罰則知りたい 休職者へ注意を喚起

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  • 傷病手当金
Q

 休職中にもかかわらず旅行に行く様子をSNSに上げる従業員がいて、社内でどう対応すべきか話し合っていたところ、傷病手当金の不正受給につながりかねないのでは、という意見が出ました。不正かどうかはケースバイケースとは思いますが、全従業員に対して注意喚起したいと考えています。不正受給にはどういった罰則が付されているのでしょうか。【長野・B社】

A

費用徴収や給付制限あり 傷手金「労務不能」が条件

 傷病手当金が支給されるのは、「療養のため、労務に服することができないとき」です。なお、古い通知ですが、休業中に家事の副業に従事しても、支給対象になり得るとした解釈がありました(昭3・12・27保理3176号)。

 不正受給かどうかは、最終的には保険者の判断になりますが、会社としては休職中は療養に専念してもらって1日も早く職場復帰してもらいたいのが本音であり、休職事由が消滅したか否かは使用者にとって重要な関心事といえるでしょう。実務的には休職事由が消滅した場合には、診断書とともに速やかに復職を申し出る規定を就業規則等に設けておくのがベターです。

 実際、健康保険の保険給付を不正受給したと保険者が判断したときに、…

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2025.05.27 【健康保険法】

傷手金どう計算する 同月内で転職あった場合

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  • 傷病手当金
Q

 従業員が私傷病で休み、傷病手当金を申請します。2月に転職してきた者で、当社も前職も協会けんぽへの加入となるため、前職の標準報酬月額も加味しながら支給額が決まると思いますが、前職を辞めたのは2月上旬で、下旬から当社で働き始めました。この月はどちらの標準報酬月額で計算しますか。【兵庫・Z社】

A

最後の標準報酬月額使って算定

 傷病手当金の支給額は、支給開始日の属する月以前12カ月間における標準報酬月額の平均の3分の2です。転職などをして現在の適用事業所で被保険者期間が12カ月に満たないときでも、前職における保険者が同じなら、12カ月について通算できる場合があります。

 ご質問のように…

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2024.10.29 【健康保険法】

傷病手当金は調整か 老齢年金を受給中で

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  • 傷病手当金
Q

 67歳の労働者から、休日にケガをし、しばらく療養が必要になったという連絡を受けました。健康保険の被保険者であるため、傷病手当金の支給対象になると思いますが、老齢基礎・厚生年金を受給していて所得補償はある状態です。調整の対象になるのでしょうか。【岐阜・M社】

A

資格喪失後の場合なら対象

 傷病手当金は、療養のため労務不能であるときに支給されます(健保法99条)。退職などで被保険者資格を喪失した後も、喪失時に受給しているなどの要件を満たせば、引き続き支給対象です(法104条)。

 一方で各種調整規定も設けられています(法108条)。老齢基礎・厚生年金などの老齢退職年金給付が受けられる場合、原則、資格喪失後の傷病手当金については支給しないとしています(同条5項、健保令38条)。つまり、ご質問のように在職中の場合は調整なく引き続き支給対象です。

 資格喪失後でも、…

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2024.08.10 【健康保険法】

悪化して傷病手当金は? 復帰後まもなく体調不良

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  • 傷病手当金
Q

 当社の従業員が私傷病でしばらく欠勤していました。いったんは復帰したものの、数日後に具合がよくないといってきました。本人から、悪化したときでもまた傷病手当金は受けられるのだろうかと聞かれました。医師の証明があれば問題ないでしょうか。【兵庫・T社】

A

治ゆ前なら継続して受給 通算して1年6カ月まで

 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷(以下、傷病)およびこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6カ月間となっています(健保法99条4項)。休みが3日続いて待期期間の要件を満たした後に1日出勤して、その後5日目に休んだケースについて、待期はすでに完成していて、傷病手当金の支給を行うと解されています(昭32・1・31保発2号の2)。

 傷病手当金の受給期間は、「同一の傷病」について判断します。厚生労働省の社会保障審議会では、「健康保険法の解釈と運用」を引用する形で、同一の傷病とは、…

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2024.07.02 【健康保険法】

対象となるケースは 喪失後の傷病手当金で

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  • 傷病手当金
Q

 病気で傷病手当金を受給している人が退職します。まだ1年半受給し切っていないため、退職しても資格喪失後の継続給付の対象となると思います。多少の引継ぎ作業など発生しそうで本人も応じてくれるとのことですが、出社させてしまうと対象にならないなどあるのでしょうか。【島根・A社】

A

退職する日労務不能状態ならば

 被保険者資格の喪失後も、引き続き傷病手当金の支給を受けられる仕組みがあります。要件は、①資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者で、②その資格を喪失した際に、傷病手当金を受けているか、または受けることができる状態にあること――です(健保法104条)。①の1年以上には、任意継続被保険者等の期間は含みません。

 ②から、資格喪失前に、連続3日間労務不能な状態にあるという待期期間を経ている必要があります。労務不能3日目に退職すると…

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