『出向』の労働実務相談Q&A

NEW2025.04.28 【健康保険法】

出向で2事業勤務扱い? 基本給や手当を按分支給

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  • 出向
Q

 出向の場合に、2以上事業所勤務の届出はどうなるのでしょうか。被保険者となるためには、いわゆる常用的使用関係にあるかどうかを考える必要がありますが、それぞれの事業所で、基本給や手当等を按分して支給している場合にはどのように判断されるのでしょうか。【兵庫・F社】

A

常用的使用関係が必要に 手当のみで否定した例も

 従業員が同時に2つの事業所に勤務し、それぞれ加入要件を満たすときは、両方で被保険者となることがあります。

 例えば、出向の場合においては、2つの事業所が、人事、労務、給与の管理等を行っているのであれば、それぞれ常用的使用関係があるのかどうかを判断します。常用的使用関係にあるかどうかは、いわゆる4分の3基準等に基づいて判断されます。なお、給与の管理等に関して、一方の事業所において、通勤手当、住宅の供与のみの支払いであり、これのみをもって常用的使用関係があるとは認め難いとして、2以上事業所勤務の被保険者にはならないとした日本年金機構疑義照会があります。

 2以上事業所勤務となるのは、以下のような場合です。…

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2025.03.11 【労働基準法】

当社基準で懲戒処分か? 在籍出向の労働者が違反

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  • 出向
  • 労務一般関係
Q

 当社工場には、製造と関係の薄い関連企業から労働者が出向しています。このたび安全関係の違反が続き、けん責処分としたいのですが、当社基準で処分可能でしょうか。【千葉・N社】

A

契約や規定に基づき可能 解雇権などは「元」へ残る

 実務上、懲戒処分を科すためには、就業規則で懲戒の種別と事由を定めておかなければならないとされています。なお、表彰や制裁については、労基法89条で就業規則における相対的必要記載事項とされているため、定めをする場合は規定を設けることが必要です。

 在籍型出向は、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、出向元・先の両方と雇用契約を結び、出向先に一定期間継続して勤務することをいいます。労働者供給の一形態ですが、職安法44条が労働者供給を「業として行う」ことを禁止しているところ、在籍型出向は、経営・技術指導の実施や、職業能力開発の一環として行うことなど、その目的に照らし「業として行う」に該当しないとされています。

 出向先における労働条件などは、…

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2024.06.25 【国税徴収法】

対象となる賃金何か 出向労働者の労働保険

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  • 出向
Q

 出向労働者を受け入れています。当社では初めて出向労働者がいる状況下での年度更新となりますが、保険料計算においてカウント対象となる賃金について、注意点などあるでしょうか。【滋賀・D社】

A

労災については「元」も含め計算

 徴収法において、在籍出向の出向者を出向元・先のどちらの労働者と扱うかについては、出向の目的や出向契約、労働の実態等に基づき判断し決定されます(昭35・11・2基発932号)。

 具体的には、雇用保険と労災保険で扱いが異なります。雇用保険では、…

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2024.06.21 【労働基準法】

転籍して年休付与どうなる 子会社だが別法人で リセットすることを検討

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  • 休憩・休日関係
  • 出向
Q

 子会社に在籍出向させていた従業員を、転籍扱いにしたいと考えています。年次有給休暇の付与日数が何日になるかは継続勤務した年数により決まりますが、転籍のタイミングでリセットすることになるのでしょうか。【静岡・H社】

A

継承なら5日取得は通算

 年次有給休暇の日数は、「継続勤務」期間に応じて定まります(労基法39条)。「継続勤務」しているといえるかは実質的に判断されますが、たとえば、非正規雇用から正規雇用に切り替えられた場合や定年退職者が引き続き再雇用された場合、有期労働契約が反復更新されている場合においても、それぞれ継続勤務と解されています(昭63・3・14基発150号)。在籍出向の場合についても、勤務の継続性を肯定しているほか(前掲通達)、学説においても出向中の期間については、出向元で労働契約が維持されている以上、継続勤務と解される(注釈労働基準法)としているものがあります。

 在籍出向させたタイミングで勤続期間をリセットすることはせず、出向期間も含めて在籍期間をカウントして、継続勤務年数が6年6カ月以上なら少なくとも20日の付与が必要になります。

 一方、在籍出向から移籍出向(転籍)した場合ですが、…

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2024.04.26 【健康保険法】

指揮命令受ける出向先で加入? 社保の被保険者資格 「先」が寸志等を支給

キーワード:
  • 出向
Q

 経営不振の関連会社から出向者を受け入れることになりました。報酬はこれまでどおり出向元で支払う場合に、社会保険関係は引き続き「元」で適用として良いのでしょうか。当社で臨時的に寸志等を支払うことがありますが、出向社員も対象とした場合に、社会保険の関係ではどのように考えれば良いのでしょうか。【京都・E社】

A

報酬支払い関係みて決定

 在籍出向については、一般的に出向元との労働契約は存続していると解されています。出向元・先の双方に対し労働契約関係が存する限度で労基法等の適用があります(昭61・6・6基発333号)。

 指揮命令を受けて労務を提供するのは出向先になるため、労働時間、休日、休暇、服務規律や安全衛生等について出向先のルールを適用することになるでしょう。

 出向元・先のどちらから報酬が支払われるかがポイントとなります。…

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