『労使協定』の労働実務相談Q&A

2025.07.22 【最低賃金法】

労使協定でも不可か 控除すると最賃下回る

キーワード:
  • 労使協定
  • 社会保険
Q

 私傷病で先月全部欠勤し賃金の支払いがなかった従業員がいます。今月途中に復帰し、賃金控除の労使協定に基づいて先月の社会保険料を今月の賃金から控除しますが、控除をすると最低賃金を下回りそうです。控除は違法ですか。【新潟・U社】

A

差引き前の金額判断対象になる

 支払った賃金が最低賃金以上かどうかをみる際に、算定の対象とならない賃金が定められています(最賃法4条3項)。具体的には、精皆勤手当や通勤手当、家族手当のほか、結婚手当など臨時に支払われる賃金、賞与といった1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金、所定労働時間・所定労働日以外の労働に…

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2025.06.10 【労働基準法】

本社一括仕組み変わる? 労使協定など届け出る際

キーワード:
  • 36協定
  • 労使協定
  • 労務一般関係
Q

 労使協定の本社一括届出について、仕組みが変わったと聞きますが、どのように変わったのでしょうか。対象など注意点はありますか。【神奈川・G社】

A

同一でない場合も可能へ ポータルサイト経由なら

 労使協定等は、基本に事業場単位で届出などが必要ですが、本社一括届出が認められているものもあります。

 36協定届を例にとると、形態ごとに要件は異なるものの、今までも書面等による届出をする場合とe-Govから電子申請を行う場合に認められていました。このたび新たな解釈例規(令7・3・28基発0328第8号)が発出され、労働条件ポータルサイト「確かめよう 労働条件」の電子申請様式作成支援ツール(以下、ツール)を使用して電子申請を行う場合が追加されました。e-Govの場合よりも要件が緩和されています。

 先にe-Govの場合は、…

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2025.02.27 【育児・介護休業法】

労使協定周知なかった? 就業規則には除外規定

キーワード:
  • 労使協定
Q

 令和7年4月から順次、育児介護休業法の改正が予定されているため就業規則を確認していたところ、労使協定に基づき、対象から除外するという規定がありました。しかし、労使協定の有無が確認できません。周知されていない協定でも除外協定として効力を有するのでしょうか。【山口・T社】

A

対象者かどうか明らかに 4月から休暇関係見直し

 労使協定には、育介法に基づくもののほか、労基法や高年齢者法、派遣法等に基づくものがあります。一般的なものとして、時間外・休日労働(36)協定が挙げられます。労基法に基づく労使協定は、法律の条文で常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けたり、書面を交付すること等の方法で、労働者に周知させなければならないと規定しています(法106条)。周知を怠ると罰金刑の対象です。

 育介法で労使協定を締結する場面としては、育児・介護休業の適用除外(法6条)、育児・介護のための所定外労働の制限の適用除外(法16条の8)、育児・介護のための所定労働時間の短縮(法23条)等があります。その他、…

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2024.12.17 【労働基準法】

労使協定も必要か 遅刻等の際に賃金カット

キーワード:
  • 労使協定
  • 賃金関係
Q

 遅刻等に対して賃金をカットする場合、控除ということになって労使協定も必要になるのでしょうか。当社の規定の見直しを進めていたところ、賃金カットは就業規則の規定しかなく、控除に関する労使協定の対象に含まれていないため気になっています。【熊本・I社】

A

「控除」ではないため求められず

 全額払の原則は、履行期の到来している賃金債権について一部を差し引いて(控除して)支払うことを禁止しています(労基法24条)。例外として、社会保険料など法令に基づく場合のほか、労使協定の締結による控除を認めています。

 一方、労働者の自己都合による欠勤や遅刻があった際に、債務の本旨に従った労働の提供がなかった限度で賃金を支払わないことは、賃金債権が発生していないものであり、控除ではなく、法24条違反とはならないと解されています(労基法コンメンタール)。ご質問の場合は、労使協定までは必要ないといえます。

 なお、賃金カットは労働契約や就業規則に基づき…

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2024.11.29 【労働基準法】

過半数代表者は1人のみ? 規程変更や協定締結時 各部署から選びたいが

キーワード:
  • 労使協定
  • 労務一般関係
  • 就業規則
  • 過半数代表
Q

 当社で育児・介護休業の規定や労使協定の見直しが必要な事態となりました。そもそもとして規定の内容自体が非常に複雑です。過半数代表者を1人とするのではなく、できれば各部署から複数人を選出したいと考えています。しかし、代表という文言からすると、問題があるのでしょうか。【山梨・U社】

A

複数選出も適法に可能

 過半数代表者の選任が必要になるのは、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合です。

 過半数代表者の選任手続きは、労基則6条の2に定められています。就業規則の作成・変更や労使協定を締結することを明らかにして投票、挙手等を実施する必要があります。「等」には、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が選任を支持していることが明確になる民主的手続きが該当すると解されています(平11・3・31基発169号)。使用者の意向に基づき指名された者でないことという要件も満たす必要があります(同条1項2号)。

 代表者の人数について、条文の「過半数を代表する者」という表現から、…

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