有期契約期間を「リセット」? 5年超えると無期転換 “クーリング”の要点教えて
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改正労契法では、5年を超える有期労働契約の無期転換を義務付けています。ただし、一定のクーリング期間が過ぎれば、5年の計算が「リセット」されるといいます。公布された施行規則の条文を読んだのですが、難解な内容でキチンと頭の中で整理できません。要点をかいつまんで説明してください。【大分・K社】
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空白6カ月未満は通算も
「クーリング期間」の原則の考え方は、「2つの有期労働契約の間に6カ月以上の空白期間があれば、その空白期間より前の契約は5年の計算に含めない(通算しない)」というものです(平成25年4月1日施行後の改正労契法第18条第2項)。
ここまでは簡単なのですが、「直前の有期労働契約が1年に満たない場合」の例外が複雑です。平成24年10月26日に公布された「労働契約法第18条第1項の通算契約期間に関する基準を定める省令」と併せて、まず用語を確認しましょう。
有期労働契約が不存在の期間を「無契約期間」といい、この無契約期間が2つに分かれます。
第1は「前後の契約期間が連続すると認められる」短期の無契約期間グループ(タイプ1)で、その範囲は基準省令第1条第1項で定められています。
第2は「空白期間」と呼ばれるグループ(タイプ2)で、タイプ1の期間を除いた無契約期間を指します。
クーリングの対象となる「空白期間」に該当するのは、無契約期間の長さが①6カ月以上または②「直前の契約期間」に2分の1を乗じた期間(端数は1カ月に繰上げ)以上である場合です(平24・10・26基発1026第1号)。
「直前の契約期間」を計算する際、次のルールに従います。
① 複数の有期労働契約が間を置かずに連続しているときは通算
② 複数の有期労働契約の間に「短期の無契約期間(タイプ1)」が挟まるときは通算
③ 複数の有期労働契約の間に「空白期間(タイプ2)」が挟まるときはリセットただし、②の「直前の契約期間」の計算では、当然ながら、間に挟まる「無契約期間(タイプ1)」を除き、有期労働契約の存続期間のみを合算します。それぞれの有期労働契約期間に1カ月未満の端数があるときは、端数同士を合計し、30日をもって1カ月とします(基準規則第1条第2項)。
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