『健康診断』の労働実務相談Q&A

2025.05.13 【パート・有期雇用労働法】

嘱託再雇用し健診不要? 労働時間や日数減らす

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  • 健康診断
  • 再雇用
Q

 定年後に嘱託再雇用した従業員について、労働時間や労働日数を見直して賃金も減額しています。ただ、職務の内容等は定年前後で基本変わりありません。一般的なパート・アルバイトだと健康診断を実施しなければならないかどうかは、労働時間が関係していたはずです。嘱託再雇用に伴い労働時間を短縮したことによって、定期健診の対象外としてしまって良いものでしょうか。【山口・Y社】

A

短時間のみで除外は問題 差別的取扱いに留意を

 定期健診の対象となるのは、常時使用する短時間・有期雇用労働者です。有期雇用のときは、1年(いわゆる危険有害業務については6カ月)以上雇用が継続していて(予定を含む)、かつ、週の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の週の所定労働時間数の4分の3以上あることが条件となっています(平31・1・30基発0131第1号)。

 4分の3未満であっても、2分の1以上あれば実施が望ましいとされています。いずれにしても、前掲通達で定める条件を満たさなければ、安衛法上の健診の実施義務はありません。

 定年退職時と再雇用時の所定労働時間を比較した統計(中労委「令和5年賃金事情等総合調査」)によれば、…

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2025.04.15 【衛生管理】

血圧高い若手どう指導? 通院服薬を自らストップ

キーワード:
  • 健康診断
Q

 社員に健診をしっかり受けてもらい、再検査や治療を受けてもらうように働きかけているのですが、高血圧が指摘されている30代の社員から、「前に医者に行って薬をもらうようになったが、飲んでも治らないので行かなくなった」という話を聞きました。医者には行き続けるように指導しましたが、どうすればいいでしょうか。【滋賀・Z社】

A

「二次性」の検査を推奨 生活習慣でなく病気原因

 高血圧は、それ自体は症状がありませんが、放置すると脳卒中や心筋梗塞など心血管系の致死的な病気の原因となるため、高血圧を知りながら従業員に負荷のかかる業務を行わせるのは、安全配慮の観点からは決してしてはいけないことです。

 若い社員に高血圧が続いているとすると、むろん生活習慣病の一環である可能性もありますが、二次性高血圧を疑う必要があるかも知れません。

 加齢などの理由で進行する動脈硬化をベースに、運動不足や食事(塩分の取り過ぎ)などの生活習慣で助長されるいわゆる「高血圧」は、本態性高血圧症といわれるものですが、…

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2025.01.28 【労働安全衛生法】

実施は所定時間内か 定期健診後に行う再検査

キーワード:
  • 健康診断
Q

 定期健康診断は所定労働時間内に実施しているのですが、一方でその後の再検査は労働者任せとなっていました。再検査についても労働時間内に行うべきなのでしょうか。【富山・N社】

A

就労を免除して賃金の支払いも

 安衛法66条の健康診断の受診に要した時間の賃金に関して、まず年1回の定期健診など一般健診については、当然に事業主が負担すべきものではなく、労使で協議して定めるとしています(昭47・9・18基発602号)。ただし、労働者の健康確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考え、支払うのが望ましいともしています。なお、有機溶剤業務など一定の有害な業務で対象となる…

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2024.08.26 【労働安全衛生法】

深夜業の健診も報告? 特定業務に従事したら

キーワード:
  • 健康診断
  • 深夜業
Q

 定期健康診断を実施した際は、労働基準監督署に結果を報告しています。深夜業に従事した人に対する健診も対象者がいるため実施していますが、これについても報告が必要なのでしょうか。【長野・O社】

A

定期健診と同じ様式で

 健康診断にはいくつか区分がありますので、確認してみましょう。まずは、定期健康診断です(安衛法66条1項、安衛則44条)。次に、有害な業務に従事する労働者に対して、有機則や特化則等の省令に基づき健診を実施しなければならない、いわゆる特殊健診です(法66条2項)。

 深夜業等は特定業務に該当し、…

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2024.08.14 【衛生管理】

健診の数値で残業禁止!? 産業医から就業制限判定

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  • 健康診断
Q

 健康診断実施後の事後措置は、これまで正直あまりやっていませんでした。新しい嘱託の産業医の先生にお願いするようになって、健診結果の結果が悪い人に対して、就業制限の判定がどんどん出るようになりました。高血圧の従業員には「残業禁止」などが出ています。確かにハイリスク者がいるのは気になっていましたが、数値だけで制限をかけられても現場は困ってしまいます。事後措置をどう考えたらいいのでしょうか。【山梨・H社】

A

衛生委で発動基準を審議 医師へ情報提供が必要

 健診結果を医師に判定させて適切な事後措置をすることは、安衛法66条の5に定められた事業者の基本的な安全配慮義務の一つです。

 有害業務を行う労働者に対して、作業関連疾患(いわゆる職業病)を予防するために健診を行う場合は分かりやすい例です。たとえば、粉じん職場で働く人のレントゲンをチェックして、じん肺の疑いがあれば就業を制限するといった措置です。他方生活習慣病(高血圧や糖尿病など)の人にどのように就業制限をかけるのが適切かは悩ましいところです。

 健診結果が一定の数値以上の場合にすべて制限をかけてしまうことで、…

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