死亡退職金誰に支払うか 「相続財産」ではない? 受給権どう定めるべき

2012.01.30
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Q

 判例(本紙平成23年12月19日付14面)のページで、弁護士の先生が「死亡財産は相続財産ではない」と解説されていました。遺族が相続できないとすれば、退職金の支払先はどうなるのでしょうか。「受給権の順位を明確に定める」など、実務的な注意点を教えてください。【徳島・U社】

A

遺族補償の順位を準用

 退職金も、労使間で支給条件が明確に定められ、事業主が支給義務を負う場合は、賃金に該当します。賃金である限りは、本人への直接払(労基法第24条)が原則となります。

 しかし、本人が死亡したときに直接払は不可能となるので、労基法第23条の規定に基づき「権利者の請求に応じて7日以内に賃金を支払う」ことになります。なお、退職金に限っては「7日以内」ではなく、「予め就業規則で定められた支払時期に支払えば足りる」とされています(昭63・3・14基発第150号)。

 ここでいう「権利者」について、解釈例規では「別段の定めがない場合には民法の一般原則による遺産相続人」を指すと述べています(昭25・7・7基収第1786号)。

 ただし、「労働協約、就業規則等において民法の遺産相続によらず、労基則第42条、第43条の順位による旨定め、支払った場合はその支払は有効」です。

 お尋ねにある判例のページでも、「退職金規程で別に支払順位が定められていた」ため、その支払順位が民法の規定に優先する点を確認されています。その場合、退職金は「相続人としてではなく、直接これを自己固有の権利として取得」することになりますが、この点を「死亡退職金は相続財産ではない」と表現されているものです。

 実務上、退職金規定では受給権者と順位を明記しておくことが適切です(本紙平成23年12月5日付5面、「就業規則見直し講座」参照)。死亡した従業員と生活を一体とした者の生活を補償する趣旨から、労基則の遺族補償の受給順位(第42条第43条、第45条)にならうのが一般的です。

 第42条では、第1順位者は「配偶者(事実婚含む)」、第2順位者は「子・父母(養父母が実父母に優先)・孫・祖父母で被生計維持(または生計同一)者とし、その順位はここに掲げる順序」と定めています。

※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。

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平成24年1月30日第2858号16面 掲載

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