パワハラの業務上認定増えるか メンヘル不調患い休業 厚労省「予防の提言」まとめる
- Q
最近、職場のパワハラに関する報告書がまとめられたと聞きます(平成24年2月13日本紙1面参照)。当社でも、メンタルヘルス面の不調で休業している従業員がいます。パワハラ等により精神疾患を発症した際には、今後、業務上災害と認められるケースが増えるのでしょうか。【広島・O社】
- A
-
心理的負荷は「強」に該当
厚生労働省設置の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」は、パワハラの予防・解決に向けた提言を公表しました。これは、企業・労組・個々人等に対し、それぞれの立場からパワハラ撲滅に取り組むよう求めるものです。
提言と業務上疾病の問題は直接リンクしませんが、最近の法改正も踏まえ業務上の精神障害認定の現状をご説明します。
従来、精神障害は労基則別表第9号(改正前)「その他業務に起因することが明らかな疾病」に分類されていました。しかし、平成22年の改正で、第9号(改正後)「心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神障害・疾病等」という区分が新設されました(平22・5・7基発0507第3号)。
心理的負荷による精神障害に関する認定基準も、平成23年に改正が実施されています(平23・12・26基発1226第1号)。
新基準では、長時間労働等の影響を具体的に評価すると同時に、心理的負荷評価表の「出来事」類型を43種から36種に再編し、強度を見直す等の改正を加えています。
パワハラを例に、判定の手順をたどってみましょう。まず、「月160時間を超える長時間労働」等の「特別な出来事」があれば、自動的に心理的負荷の総合評価を「強」と判断します。
そうした事実がないときは、「嫌がらせ、いじめを受けた」場合の平均的な心理的負荷は三段階評価の最上位(Ⅲ)とされています。このⅢ評価を踏まえ全体評価を決定しますが、「上司の言動が業務指導の範囲を逸脱し、人格・人間性を否定するような言動が執拗に行われた」ような際には、「強」と判定されます。
嫌がらせ等の総合評価が「中」等のケースでも、出来事の後に恒常的な長時間労働(月100時間程度)があれば、総合評価を「強」に修正します。
総合評価が「強」と判定され、業務外の心理的負荷や個体側要因に問題がなければ、業務上の疾病と取り扱われます。
※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。